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2014年06月07日

新京極にひっそりと

道草百人一首・その25 
「あらざらむ この世の外の 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな」(和泉式部)【56番】

新京極にひっそりと

「もう生きていることはないでしょう。あの世への思い出に、せめてもう一度お会いすることができるなら」。何という緊張感と激しい情念、そしてストレートな表現。感性の鋭い、恋多き女性・和泉式部。1000年頃の人で、最初の夫・橘道貞(タチバナノミチサダ) が和泉国に赴任したことかから、「和泉式部」と呼ばれる。この時に生まれた娘が、小式部内侍【60番】。道貞とは数年後に破局。その後も、父親から勘当され、「浮かれ女」とさえ言われた華々しい恋の遍歴。しかし、女性が自分の名前さえ自立させえなかったこの時代、それは一個の人間の「生きる証」だったのか。京都・新京極の「誠心院」は、「和泉式部寺」と呼ばれている。娘・小式部内侍に先立たれた和泉式部に、藤原道長が贈った庵が元とされる。



Posted by biwap at 06:22 │道草百人一首