
2016年10月03日
落ちて実を成す落花生
畑の野菜・落花生



ラッカセイ。マメ科の一年草。夏に黄色の花を咲かせる。受粉後、数日経つとヒゲのようなものが下方に伸びて地中に潜り込み、膨らんで地中で結実する。地中に落ちて結実することから「落花生」と呼ばれる。これを炒ったものが「ピーナッツ」。
原産地は南アメリカ。約3000年前から栽培。薬や重要な食糧とされてきたが、ヨーロッパでは土の中で成長する奇妙な存在と感じられ、気候もあまり適さないことから普及しなかった。北アメリカでは、家畜の餌か奴隷用の食糧として栽培されていたが、南北戦争による食糧事情悪化で白人も食べるようになり、「ピーナツ」と呼ばれ愛されるようになった。
日本には、江戸時代「南京豆」というネーミングで伝わってきた。明治に入り、アメリカから種子を導入し日本各地で栽培されるようになる。初めて栽培されたのは1871年。神奈川県の農家・渡辺慶次郎が落花生の種をもらい、畑に蒔いた。花は咲いたがいっこうに実を結ばない。「こんなもの」と足蹴りしたら地中から鞘が出てきた。横浜の駄菓子屋に売り込んだところ、たちまち盛況となる。
ピーナッツには、脂質と良質のタンパク質、さらにはミネラルやビタミンといった栄養素がバランスよく含まれている。特に渋皮の部分にはビタミンEやレスぺラトロールが配合され、アンチエイジングや美容にも良いらしい。
落ちて実を成す落花生。その逞(タクマ)しさに、しっかりとした栄養が詰まっているのだ。



ラッカセイ。マメ科の一年草。夏に黄色の花を咲かせる。受粉後、数日経つとヒゲのようなものが下方に伸びて地中に潜り込み、膨らんで地中で結実する。地中に落ちて結実することから「落花生」と呼ばれる。これを炒ったものが「ピーナッツ」。
原産地は南アメリカ。約3000年前から栽培。薬や重要な食糧とされてきたが、ヨーロッパでは土の中で成長する奇妙な存在と感じられ、気候もあまり適さないことから普及しなかった。北アメリカでは、家畜の餌か奴隷用の食糧として栽培されていたが、南北戦争による食糧事情悪化で白人も食べるようになり、「ピーナツ」と呼ばれ愛されるようになった。
日本には、江戸時代「南京豆」というネーミングで伝わってきた。明治に入り、アメリカから種子を導入し日本各地で栽培されるようになる。初めて栽培されたのは1871年。神奈川県の農家・渡辺慶次郎が落花生の種をもらい、畑に蒔いた。花は咲いたがいっこうに実を結ばない。「こんなもの」と足蹴りしたら地中から鞘が出てきた。横浜の駄菓子屋に売り込んだところ、たちまち盛況となる。
ピーナッツには、脂質と良質のタンパク質、さらにはミネラルやビタミンといった栄養素がバランスよく含まれている。特に渋皮の部分にはビタミンEやレスぺラトロールが配合され、アンチエイジングや美容にも良いらしい。
落ちて実を成す落花生。その逞(タクマ)しさに、しっかりとした栄養が詰まっているのだ。
2015年11月10日
栗よりうまい十三里
畑の野菜・サツマイモ

京都堀川をはさんで二つの塾。ガチガチの朱子学者・山崎闇斎の門から出てきた弟子たちは、ホッと安堵のため息。激しく弟子をしかりつける山崎闇斎とは対照的に、朱子学を批判した伊藤仁斎の塾(古義堂)はいつも和気あいあいとしていた。伊藤仁斎・東涯父子の古義堂に学んだのが、江戸日本橋の魚屋の息子・青木昆陽。27歳で江戸に塾を開き、やがて町奉行・大岡忠相に認められる。
大商人による米相場操作、飢饉、蝗害(バッタの害)。米問屋襲撃や農民一揆が続発する。青木昆陽は、「蕃薯(バンショ)考」を書き、将軍・徳川吉宗に飢饉対策を進言。苦労の末、甘藷(サツマイモ)の栽培を成功させた。サツマイモはその後全国に広がり、飢饉に苦しむ民衆を救っていった。「甘藷(カンショ)先生」、青木昆陽はそう呼ばれた。
長い航海では壊血病の危険がある。波に揺られる船では火が使えない。生で食べられ保存が効くものが必要。野菜や果物はすぐ腐る。腐りにくく生でも食べられるサツマイモは、大航海時代を支えた貴重な航海食となった。こうしてサツマイモは、原産地・中南米から大西洋を渡りヨーロッパに、そしてアフリカ・喜望峰を越えアジアへと。日本では伝来ルートの違いにより、「唐芋」「琉球薯」そして「薩摩芋」と呼ばれるようになる。
サツマイモは、繁殖力が強く育てやすい。保存性も高いことから、救荒作物として利用された。しかし飽食の時代、別の意味で救いの作物。サツマイモは、カリウム・鉄・マンガンといったミネラル類が豊富で、ビタミンもバランスよく含まる。特にサツマイモのビタミンCは加熱しても壊れにくい。食物繊維も豊富で、便秘の解消・大腸癌の予防にもなるという優れもの。
「栗よりうまい十三里」。洒落好きな江戸っ子がつけたらしい。くりより(九里四里)で、「十三里」。焚き火で焼いた焼き芋の味が懐かしい。今は、消防法でそれも難しくなってしまった。でもやっぱり、栗よりうまいのは、ホカホカの「十三里」。

京都堀川をはさんで二つの塾。ガチガチの朱子学者・山崎闇斎の門から出てきた弟子たちは、ホッと安堵のため息。激しく弟子をしかりつける山崎闇斎とは対照的に、朱子学を批判した伊藤仁斎の塾(古義堂)はいつも和気あいあいとしていた。伊藤仁斎・東涯父子の古義堂に学んだのが、江戸日本橋の魚屋の息子・青木昆陽。27歳で江戸に塾を開き、やがて町奉行・大岡忠相に認められる。
大商人による米相場操作、飢饉、蝗害(バッタの害)。米問屋襲撃や農民一揆が続発する。青木昆陽は、「蕃薯(バンショ)考」を書き、将軍・徳川吉宗に飢饉対策を進言。苦労の末、甘藷(サツマイモ)の栽培を成功させた。サツマイモはその後全国に広がり、飢饉に苦しむ民衆を救っていった。「甘藷(カンショ)先生」、青木昆陽はそう呼ばれた。
長い航海では壊血病の危険がある。波に揺られる船では火が使えない。生で食べられ保存が効くものが必要。野菜や果物はすぐ腐る。腐りにくく生でも食べられるサツマイモは、大航海時代を支えた貴重な航海食となった。こうしてサツマイモは、原産地・中南米から大西洋を渡りヨーロッパに、そしてアフリカ・喜望峰を越えアジアへと。日本では伝来ルートの違いにより、「唐芋」「琉球薯」そして「薩摩芋」と呼ばれるようになる。
サツマイモは、繁殖力が強く育てやすい。保存性も高いことから、救荒作物として利用された。しかし飽食の時代、別の意味で救いの作物。サツマイモは、カリウム・鉄・マンガンといったミネラル類が豊富で、ビタミンもバランスよく含まる。特にサツマイモのビタミンCは加熱しても壊れにくい。食物繊維も豊富で、便秘の解消・大腸癌の予防にもなるという優れもの。
「栗よりうまい十三里」。洒落好きな江戸っ子がつけたらしい。くりより(九里四里)で、「十三里」。焚き火で焼いた焼き芋の味が懐かしい。今は、消防法でそれも難しくなってしまった。でもやっぱり、栗よりうまいのは、ホカホカの「十三里」。

2015年11月03日
カザグルマの正体

野菜作りゲームでは、時としてジョーカーに出くわす。最近設置した奇妙な風車(カザグルマ)の正体は?
畑の横にこんもりと盛り上がったもの。何者かのウンコのようである。数日ごとに同じ現象が続いた。小動物にしては大き過ぎるし、まさかこんな所に人間が。どけてみると、穴が開いていた。棒切れを突っ込むとスポッと入り込んだ。かなり深い。これは・・・。そういえば以前にモグラの死体を見つけたことがあった。モグラ塚なのだ。モグラはかきだした土を地表部分に排出する。穴の付近にできた土の盛り上がりを「モグラ塚」と呼ぶ。
モグラは爬虫類からやっと哺乳類になったばかりの動物。体長10cmから20cm程度。足はシャベルのように大きく、前足は横向き。土をかくのに適している。目は退化してほとんど視力がない。巣は地下2メートル位のところ。地下15~40センチの所に掘られたトンネルは、長いもので200~300メートルにもなる。この本道から地下10~15センチのところにエサ場トンネルが作られ、1日に何回となく往復しながらエサを捕食する。ミミズを好んで食べ、冬に備えてミミズを貯蔵しておくとも言われている。
日本各地で小正月には、「土竜追い(モグラオイ)」という行事がある。農作物を害するモグラを追い出し、五穀豊穣を祈る神事。集落の子どもたちが集まり、唄を歌いながら、藁を巻きつけた竹竿などで地面を叩き練り歩く。モグラの発達した聴覚を利用して、振動で音波を発生させ退散させるのだ。つまり同じ理屈で、ホームセンターで買った風車はモグラ除け。モグラがそのうちに慣れてくるので、効果の程は定かではない。
畑の野菜を食い荒らすというイメージがあるが、モグラは完全な肉食。野菜の食害は全くの濡れ衣である。ただし、野菜を掘り返されたり根を剥き出しにされたりするので農業害獣とも言われる。土を耕してくれるミミズが食べられるのも困ったものだ。一方、コガネムシや根切り虫、農業害虫であるヤガの幼虫などを大量に食べることから益獣とも言える。どちらにしろ、ミミズを好むモグラの出現は、土が安全で肥えている証拠ともいえる。風車もほんの気休めオブジェで、今日も楽し気にカラカラと回っている。

2015年10月14日
畑の野菜・生姜


古来、薬用・香料・保存料として貴重だったスパイス。一方、新鮮な海の幸や山の幸を入手できた日本では、素材本来の持ち味を活かす調理法が主流をなし、スパイスは発達しなかった。そんな中、アクセントして使われてきた和風スパイス「生姜」。
熱帯アジアが原産という説が有力だが不確定。インドでは紀元前には保存食や医薬品として使われていた。日本では、奈良時代には栽培が始まっていたようだ。中世ヨーロッパではショウガの需要がコショウに匹敵するほど高まった。14世紀イギリスでの相場は、ショウガ1ポンド(約450グラム)でヒツジ一匹のお値段。
ショウガは地下に根茎があり、地上には葉だけが出る。葉はまっすぐに立った茎から葉を出しているようだが、この茎は偽茎。葉の葉柄が折り重なるように巻いたもの。開花することは少ないため、根茎による栄養繁殖が主である。収穫のタイミングで様々な利用法がある。
その効用は広く知られ、生姜なしに漢方は成立しないと言われる。医薬用漢方薬約150種類の内、実に75%に生姜が含まれるそうだ。冷えの改善、免疫力を高める、抗酸化作用、抗菌・殺菌作用・鎮痛作用・血管拡張・腸の運動促進など。皮は捨てずに、ショウガ風呂に。ただし、ダイエット効果があるかどうかは定かではない。
2015年08月02日
畑の野菜・ゴマ

黒ゴマの種をまいてみた。灼熱の太陽の下、ピンク色の可憐な花が咲き始めた。ゴマ(胡麻)は、ゴマ科ゴマ属の一年草。アフリカ大陸原産。暑さは好むが寒さに弱い。肥料は少なくても栽培できる。
ゴマは滋養強壮・老化防止の効用があるとされている。鉄分は、貧血からくる倦怠感・体力の低下を改善。オレイン酸は悪玉コレステロールを減らし便秘予防の作用もある。ゴマリグナンはアンチエイジングに効果があるとされる。年齢と共に、活性酸素に対する抵抗力は弱くなり、肝機能は低下していく。しかし、ゴマリグナンは肝臓に直接働きかけられる唯一の抗酸化物質と言われている。
日本で消費されるゴマの99.9%は輸入。ゴマは、日当たりがよく年中温暖、しかも広大な土地が必要である。収穫にも手間がかかる。日本ではあまり栽培されていない。ミャンマー・インド・中国。この三カ国で世界総生産量の約50パーセントを占めている。
種をまいてから1か月くらい。花は茎の下から上に向かって順番に咲いていく。花と同じく、実も下から順番に熟してくる。さやの色が緑から茶色っぽく変わってくると収穫時。よく乾燥させ、さやが割れてきたら中のゴマを取る。果たしてゴマ・プロジェクトは成功するだろうか?
「胡麻の油と百姓は絞れば絞るほど出るものなり」。江戸幕府の農民収奪を表した言葉。大衆課税で搾り取られたお金は一体何に使われるのか? 誤魔化されない様に。
2014年07月08日
畑の野菜・スイカ
果物屋さんに並ぶ、リンゴ・ミカン・ナシ・メロン・イチゴ・スイカ。いずれも、ジューシーなフルーツだ。ところが、後ろの3つは野菜。生産側から言うと、草本性植物を「野菜」、樹木になるものを「果物」というらしい。野菜と果物の分類は、国によって違いもあり、それほど明確なものではないようだ。
わが畑のプリンセス・スイカ。手塩にかけて育てたのを、カラスに突っつかれると怒り心頭となる。もう一つの難題は、収穫時期。いつが食べ頃なのか迷ってしまう。
さて、スイカは7000年前にはすでに南アフリカで栽培されており、エジプトではスイカを描いた4000年前の壁画も見つかっている。タンパク質を多く含む種の方を食べていたようだ。果物?として栽培されるようになるのは地中海沿岸に伝わってから。アジアでは、紀元前にはインドへ、そして11世紀にはシルクロード経由で中国に伝わった。「西瓜(シイグワ)」という名前は、中国から見て西域の中央アジアから伝わったことに由来。
日本には、戦国時代にポルトガル人が長崎に持ち込んだ、江戸時代初期に隠元禅師が中国から伝えたなどの説がある。江戸時代の後期には広く全国に普及し、夏の風物詩となる。江戸時代の農学者、宮崎安貞が著した「農業全書」には、スイカは「味よく暑気をさまし、酒毒を解し、渇きをやめ・・・」と記されている。
スイカの果汁は薬用として利尿効果があり、果汁を濃縮した「スイカ糖」は急性や慢性の腎臓炎に服用される。夏の野菜栽培の醍醐味は、なんといってもスイカゲーム。無事に甘いスイカに到達できるだろうか?
2014年06月28日
畑の野菜・玉葱
秋に苗を植え付け、冬を越し、初夏に収穫する玉ネギ坊や。農家の軒先に吊るしてあるのを真似てみた。日持ちがするため、大航海時代にはニンジンやジャガイモと共に食べられていた。
原産は中央アジア。栽培の歴史は古く、エジプト王朝時代、ニンニク等と共に労働者に配給されていたそうだ。地中海沿岸に伝わり、16世紀にはアメリカ大陸に伝えられた。なぜか原産地から東のアジアには伝わらなかった。日本で栽培が始まるのは、明治に入ってから。今や完全に土着し、日本は米国に次ぐ世界第2の玉ネギ生産国。
栄養素としてはそれほどでもないのに、健康に対する貢献度が高いという不思議な野菜である。その秘密は、例の辛みと刺激の元、硫化アリルにある。硫化アリルは血液をサラサラにし、動脈硬化の原因となる血栓やコレステロールの代謝を促進する作用がある。さらにビタミンB1と結合してアリチアミンとなることで、ビタミンB1の吸収を促進する働きがある。ビタミンB1が不足すると、食欲不振、イライラ、不眠、精力減退、疲労などの症状が起きやすくなる。豚肉(ビタミンB1)と一緒に調理すれば、高い疲労回復効果が期待できる。
玉ネギで血液サラサラ、スタミナアップ。しかし、イヌやネコなどの動物が食べると、赤血球を破壊するタマネギ中毒になる。ペット君たちは、食べないように。
2014年06月24日
畑の野菜・キュウリ
貸し農園で野菜を作り始めて3年。土を掘り起こすと、ミミズがワンサカと出てくるようになった。基本的にはこの土の力で、放任気味に育てている野菜たち。キュータロウは、水をしっかりやっておけば、次々と大きくなってくる。ゴマ油と醤油とニンニクを混ぜて漬けておくと、いくらでも食べてしまう。キュウリの表面のとげは、鮮度が失われるとかたさを失う。つまり、鮮度の目安となる。
韓国では、水分補給にキュウリをかじる。水分だけで栄養素はほとんどないと誤解されているが、カロテンやカリウムを豊富に含む。カロテンは抗酸化作用があり、カリウムはむくみを予防する。その他のビタミン類やミネラル類もバランスよく含まれている。
胡瓜(キュウリ)、胡桃(クルミ)、胡椒(コショウ)、胡麻(ゴマ)・・・。胡(コ)は、漢民族が、北方や西方の異民族を称した言葉。「胡瓜」も、異民族由来のものである事を示している。原産地は、インド西北部。西アジアに定着し、ヨーロッパでは16世紀ころ栽培が盛んになった。日本には、遣唐使によって薬用としてもたらされた。キュウリは熟すと黄色くなる。古くはこれを食用にしたのだが、評判はよくない。野菜として定着するのは、江戸時代末期のこと。
スサノオ(牛頭天王)を祭神とする八坂神社の神紋は、キュウリの切り口に似ているので、祭り期間中にはキュウリを食べない人もいるとか。牛頭天王の好物が胡瓜だという話まである。ところで、河童の好物はなぜキュウリなのだろう?
