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2013年10月30日

「雨の降る品川駅」

「辛よ さようなら。 金よ さようなら。  君らは雨の降る品川駅から乗車する。 李よ さようなら。 も一人の李よ さようなら。 君らは君らの父母の国にかえる。 君らの国の川はさむい冬に凍る。 君らの叛逆する心はわかれの一瞬に凍る。・・・ 君らは雨にぬれて君らを逐う日本天皇をおもい出す。・・・ ふりしぶく雨のなかに緑のシグナルはあがる。 ふりしぶく雨のなかに君らの瞳はとがる。 ・・・ シグナルは色をかえる。 君らは乗りこむ 。 君らは出発する。 君らは去る。 さようなら 辛。 さようなら 金。 さようなら 李。 さようなら 女の李。 ・・・ 」(1928年秋、昭和天皇の即位式が行われます。その時、在日朝鮮人の活動家たちは強制送還されていきます。これは、中野重治がその友人たちに贈った詩です。)
  


Posted by biwap at 06:52KOREAへの関心

2013年10月28日

これが人生なのか、それならばもう一度!

シーシュポスは神々の怒りを買い、大きな岩を山頂に押し運ぶという罰を受ける。山頂に運び終えたその瞬間に岩は転がり落ちる。そして、また同じことを繰り返す。まるで私たちの人生のように。恐ろしいのは、無意味さなのだ。ニヒリズムの黒い蛇が喉に入り込む。ニーチェは、現実から目を背け、彼方の世界へ思いを寄せる思考を「背後世界論」と呼び激しく弾劾した。ニーチェの思想は劇薬である。私たちは、「いつの日にか・・・」を夢見る背後世界論者かもしれない。でも、怯(おび)える心に恐怖は倍化し、怯(ひる)む心に運命の女神は残酷さを増す。「噛め、黒い蛇を噛み切れ!そう私の中からほとばしる絶叫があった」(「ツァラトゥストラかく語りき」)
  


Posted by biwap at 07:04biwap哲学

2013年10月26日

過去に目を閉ざすものは

1995年8月15日の戦後50周年記念式典に際し、閣議決定に基づき発表された声明が村山談話。以後、歴代内閣はこの見解を踏襲しています。心に刻むために、わが国政府の見解を改めて読んでみましょう。「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」(村山談話)
「心に刻むというのは、ある出来事が自らの内面の一部となるよう、これを誠実かつ純粋に思い浮かべることであります。そのためには、真実を求めることが必要とされます。・・・過去に目を閉ざすものは、現在をも見えなくさせます。」(ワイツゼッカー元ドイツ大統領)
  


Posted by biwap at 06:35biwap哲学

2013年10月24日

いわゆる「ゆかり発言」

2001年12月18日。日韓共催のサッカーW杯を前に、天皇が語った「ゆかり発言」です。「日本と韓国との人々の間には,古くから深い交流があったことは,日本書紀などに詳しく記されています。韓国から移住した人々や,招聘された人々によって,様々な文化や技術が伝えられました。・・・こうした文化や技術が,日本の人々の熱意と韓国の人々の友好的態度によって日本にもたらされたことは,幸いなことだったと思います。日本のその後の発展に,大きく寄与したことと思っています。私自身としては,桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると,続日本紀に記されていることに,韓国とのゆかりを感じています。武寧王は日本との関係が深く,この時以来,日本に五経博士が代々招聘されるようになりました。また,武寧王の子,聖明王は,日本に仏教を伝えたことで知られております。しかし,残念なことに,韓国との交流は,このような交流ばかりではありませんでした。このことを,私どもは忘れてはならないと思います。」
武寧王は、日本書紀によれば「筑紫の各羅島」(佐賀県唐津市加唐島)で生まれています。公州の武寧王陵から出土された木棺は、日本の近畿地方南部でしか産出しない高野槙を使ったものです。激動の東アジア史の中から、「ゆかり」の意味を探ってみたいと思います。
  


Posted by biwap at 06:50KOREAへの関心

2013年10月22日

「健康な美」・「平常の美」

「シンプルで機能的なものこそ美しい」というのが、私のモットーです。だから、柳宗悦(やなぎむねよし)に惹かれます。柳は名もなき民衆の日常に、美を見出します。それを「民藝」と呼びました。下手物(ゲテモノ)として、顧みられることのなかった民藝品の中に、「健康な美」・「平常の美」を発見します。「用と美が結ばれるものが工芸である」「工芸の美は健康の美である」。マスプロダクト的に、人も物も規格化されてしまったような現代。人も物も、やはり「手作りの味」です。
  


Posted by biwap at 06:46芸術と人間

2013年10月20日

最後の演奏を聴きたくて

年内で演奏活動を引退するジョン・ウィリアムス。10月のツアーが日本で聴くことができる最後のチャンスです。久しぶりにシンフォニー・ホールへ行って来ました。やさしく温かいクラシックギターの音色が聴衆を魅了します。クラシックギターは、小さなオーケストラだと言われます。でも、1本のギターから奏でられる生の音は、奏者の奥深くから湧き出る(音の)泉のようです。ジョン・ウィリアムスの「十八番」、「アストゥリアス」。アルベニス作曲のピアノ曲ですが、「ギターのためにつくられたのでは」と思うくらい、ギターの魅力いっぱいの曲です。
http://youtu.be/oEfFbuT3I6A
  


Posted by biwap at 06:28

2013年10月18日

聖武、その夢の跡

すっかり秋めいた信楽を自転車で走りました。のどかな田園風景が広がり、その昔ここが都だったとは、とても想像がつきません。権力闘争にあけくれた奈良時代。聖武天皇は、信楽での大仏造立という一大国家プロジェクトを始めます。でも、なぜ近江でも最も冬の厳しいこの場所なのか?政治闘争なのか、それとも政治からの逃避なのか?「夏草や 兵どもが 夢の跡」ではありませんが、「近江史を歩く30」は「聖武、その夢の跡」です。
http://biwap.raindrop.jp/details1038.html
  


Posted by biwap at 06:37近江史を歩く

2013年10月16日

スカボロー・フェア

高校3年の時に見た「卒業」という映画の1シーンで流れていた曲が「スカボロー・フェア」。サイモン&ガーンファンクルが歌ったこの曲は、元々、イングランド民謡です。いろんな解釈があります。妖精と人間のやりとりで、妖精が魔界にさらっていこうとするのを、「Parsley, sage, rosemary, and thyme」 と魔よけ効果のあるハーブの名を唱え、逃げおおせたという話。ヨークシャー地方の行楽地スカボローの市。その市の期間に契りを交わした恋人が別れなければならない悲恋の曲、等々。民謡を美しくアレンジしたこの曲は、しかし、1960年代末の社会状況が間違いなく映し出されています。2番からフーガのようにもう1つ別の歌詞が入って来ます。「血を流しながら大隊が衝突し、うねり、町は炎に包まれる。将軍は、兵士に『殺せ』と命じる。何故戦うのか?その目的すら忘れて、戦う事を命じる。」泥沼化したベトナム戦争への反戦歌であることは、「言わずもがな」なのでしょう。懐かしい青春歌です。
http://youtu.be/He-LXx0dsL4
  


Posted by biwap at 06:34芸術と人間

2013年10月14日

長州じゃなく近江

秘密保護法+集団的自衛権=戦争のできる国。そして、近隣諸国への憎悪がかきたてられる。平和は、平和への強い意志が必要です。戦争は、外交の敗北に他なりません。友好や信頼という言葉は、どこに消えてしまったのでしょうか。現首相は、ことあるごとに自らを長州人であると強調しています。ならば、「近江」です! 古(いにしえ)の近江出身の外交官を訪ねてみました。長浜市高月の雨森芳洲庵。美しいこの集落に来ると、いつも心が落ち着きます。「近江史を歩く29」は、「雨森芳洲と誠信外交」。
http://biwap.raindrop.jp/details1037.html
  


Posted by biwap at 06:42近江史を歩く

2013年10月12日

赤い点に何思う?

いくら探してもありそうでないのがこの地図。GoogleMapで作ってみました。上の赤い点が「竹島」。下の赤い点が「尖閣諸島」。もちろん、地図上には点にもならない大きさです。竹島など、いくら縮尺を拡大しても表示されない、岩礁に過ぎません。「わが国固有の領土」と言う表現が、私にはどうしても理解できません。別に韓国や中国の固有の領土だと言っているわけではありません。これらの赤い点が、なぜ「固有」なのか率直に疑問に思えるのです。わが国は自由な民主主義の国であるはずなのに、ある部分では一切の反論を許さない風潮が支配します。自分の頭で客観的・合理的に物事を考える訓練が大切です。
  


Posted by biwap at 06:36biwap哲学