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2016年11月24日

消された日の丸

消された日の丸

 1936年、ベルリン・オリンピック。2時間29分19秒2のマラソン五輪新記録で優勝した「日本人」選手。表彰台に立つ彼の表情はまるで敗残兵のようにうなだれていた。ベルリンから知人に送ったハガキには、たった一言、「悲しい」と書かれていた。

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 表彰台の上で「日の丸」が上げられるのを直視できず、「君が代」を聞きながらうつむかざるを得なかった。3位で銅メダルを首にかけた南昇竜(ナム・スンリョン)はこう語る。「孫基禎(ソン・キジョン)が1位になったことより、胸の日章旗を隠せる苗木を持っているのがうらやましかった」。表彰台で「君が代」を聞きながら孫基禎は「二度と日本のために走らない」と決心し、引退した。

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 孫選手が優勝した翌日、「東亜日報」は「朝鮮マラソン、孫・南両選手の偉績」と題する社説を掲げた。さらに、表彰台で月桂冠を戴く孫選手の写真を修正し、胸の日の丸を抹消して掲載した。2日後、「東亜日報」は無期限の発行停止処分を受ける。
 孫基禎はベルリンで外国人からサインを求められた時は、すべてハングル文字で署名。傍らにKOREAと記し、「どこからきたのですか?」という質問にたいしては、「KOREAからです」と答えている。ベルリン市内を走る練習の時も、日の丸のついていないウェアを着用した。

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 1988年ソウルオリンピック開会式。誇らしげに聖火を持ってスタジアムに登場した人物。金メダルを獲得した時よりも、この時の方が嬉しかったという。孫基禎。2002年11月15日、ソウルの病院で90歳の生涯を閉じた。

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Posted by biwap at 06:22 │KOREAへの関心