› 近江大好きbiwap › 道草百人一首 › 眠れない夜

2016年10月14日

眠れない夜

道草百人一首・その93
「夜もすがら もの思ふ頃は 明けやらで ねやのひまさへ つれなかりけり」(俊恵法師)【85番】

眠れない夜

 祖父・源経信「夕されば 門田の稲葉 おとづれて 芦のまろやに 秋風ぞ吹く」【71番】。父・源俊頼「うかりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを」【74番】。百人一首に登場する直系男子三代目。17歳の時に、父と死別し出家。東大寺の僧となり、俊恵法師と呼ばれた。
 京都白川の坊を「歌林苑(カリンエン)」と名付け、歌人たちのサロンとした。身分・立場を問わず多くの人が集まった。「方丈記」鴨長明も俊恵法師の弟子だった。
 「夜もすがら」の歌は、俊恵が女性の立場に立って詠んだ歌。毎晩毎晩恋する人を想い続け、夜も眠れないくらい。早く辛い夜が明けないかなあと思っていてもなかなか朝の光は射してくれない。朝日が射してくる寝室の隙間でさえ、白んでくる様子もなく、つれないものだ。
 同じように法師の身で、待ちわびる女性の立場の歌を詠んだのが200年前の素性法師。「今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな」【21番】。
 いつの世も「眠れぬ夜」は人を悩ませるもの。眠れない夜と雨の日には♪♪



Posted by biwap at 06:16 │道草百人一首