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2016年04月13日

その反撃に拍手!

道草百人一首・その70

「忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな」(右近)【38番】

その反撃に拍手!

 「忘れ去られる私の身は何とも思わない。けれど、いつまでも愛すると神に誓ったあの人が、神罰で命を落とすことになるのが惜しまれてならないのです」。私はどうなってもいいの。それより、裏切ったあなたが心配なの。何とも痛烈な皮肉。
 右近(ウコン)。右近少将藤原季縄(スエナワ)の娘。醍醐天皇の中宮・穏子(オンシ)に仕えた女房。当代きってのプレイガール。実名で登場する「大和物語」には、百人一首43番藤原敦忠(アツタダ)・44番師輔(モロスケ)・20番元良(モトヨシ)親王などとの恋愛が描かれている。この歌のお相手は、藤原時平の息子・敦忠。
 「源氏物語」の一節。政敵に敗れ、明石に退居した光源氏。失意のどん底に打ちひしがれているのかと思いしや、ちゃっかり明石の君と結ばれ子どもまでつくっていた。都で寂しく留守番をしていた紫の上。光源氏からこの話を聞かされ、思わずつぶやいた。「忘らるる 身をば思はず・・・・」。



Posted by biwap at 06:20 │道草百人一首