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2015年09月24日

滅びの美学

道草百人一首・その60
「八重葎(ヤヘムグラ) しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり」(恵慶法師)【47番】

滅びの美学

 葎(ムグラ)は、つる状の雑草の総称。「八重葎」は、家などの荒れ果てた姿を象徴的に表す言葉。「つる草が何重にも重なって生い茂っている荒れ寂れた家。訪れる人は誰もいないが、それでも秋はやってくる」。恵慶法師(エギョウホウシ)は、播磨国の「講師」(こうじ=国の僧侶らの監督)だったらしい。この歌は、「河原院にて、荒れたる宿に秋来るといふ心を、人々詠み侍りけるに」とある。歌人たちが集まって同じ題で詠み合ったようだ。
 河原院は、鴨川のほとり東六条に源融(ミナモトノトオル)が作った豪邸。恵慶の時代にはすでに荒れ果ててしまい、滅びの美学の象徴となっていた。源融は、「まさか光源氏だったとは」で登場している。   
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Posted by biwap at 06:21 │道草百人一首