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2015年06月22日

神に愛されし

道草百人一首・その57
「君がため 惜しからざりし 命さへ ながくもがなと 思ひけるかな」(藤原義孝)【50番】

神に愛されし

 恋しい女性のもとで一夜を過ごし、帰った後に一首したため贈る歌を「後朝(キヌギヌ)の歌」と言う。「あなたに逢うためならどうなっても惜しくはない命だと思っていましたが、逢瀬を遂げた今となっては、少しでも長くあなたとともに生きていきたいと思うようになりました」。何と素直な表現。作者は美男で人柄もよい好青年・藤原義孝(フジワラノヨシタカ)。父は百人一首45番・藤原伊尹(謙徳公)。超エリート・イケメン男子に世の女性たちは猛アタック。意外にも本人は仏道に熱心。魚や鳥も食べなかったそうだ。こんな人は神にも愛されるのか、痘瘡(天然痘)にかかって21歳の若さで夭折。「末の世にもさるべき人や出でおはしましがたからむ(今後もこのような人は現れないだろう)」と言われた。惜しむべき命かな。



Posted by biwap at 06:10 │道草百人一首