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2015年03月26日

あえなく敗北

道草百人一首・その50
「春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ」(周防内侍)【67番】

あえなく敗北

 月の明るい春の夜。関白教通(ミチノリ)の邸で、女房たちが集まって夜更けまでガールズトーク。周防内侍(スオウノナイシ)が眠くなり、「枕がほしいわね」とそっとつぶやいた。大納言忠家が、「どうぞ、これを枕に」と御簾の下から腕を差し入れる。きわどい攻勢に少しもたじろがず、「ちょっとばかり借りた手枕で、あなたとの浮名が立つなんて冗談じゃないわ」。「かひな」は「甲斐なく」に「腕(カイナ)」を透かせている。一方、大納言忠家は「契りありて 春の夜ふかき 手枕を いかがかひなき 夢になすべき」。「真剣ですよ」とダサイ返歌。あえなく敗北。秋の夜長の反対で、春の夜の夢は短く儚(ハカナ)いもの。



Posted by biwap at 06:18 │道草百人一首