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2015年03月20日

さすが才女

道草百人一首・その48
「いにしへの 奈良の都の八重桜 けふ九重に にほひぬるか」(伊勢大輔)【61番】

さすが才女

 伊勢大輔 (イセノダイフ)。19番の伊勢とは別人。神祇伯・大中臣輔親(オオナカトミノスケチカ)の娘。代々伊勢神宮の神官をつとめる家柄。一条天皇の后・彰子に仕える。紫式部や和泉式部の同僚。紫式部の後任として、献上品を受け取る役に抜擢される。奈良から届けられた八重桜。藤原道長から即興で歌を詠めと命ぜられる。才女中の才女・紫式部の後釜が、どの程度の力量の持ち主か。衆目の見守る中、即座に返したのがこの歌。昔中国では王宮を九重の門で囲ったことから、「九重」とは「宮中」の意味。奈良の都の八重桜が、九重の宮中で見事に咲き誇る。スケールたっぷりの歌に才女の面目躍如なり。



Posted by biwap at 06:19 │道草百人一首