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2014年04月27日

才媛の切り返し

道草百人一首・その21 
「夜をこめて 鳥の空音は 謀るとも よに逢坂の 関は許さじ」(清少納言)【62番】

才媛の切り返し

 中国の「史記」にあるお話。秦国に入り捕まってしまった孟嘗君。脱出の際、立ち塞がったのが函谷関の関所。一番鶏が鳴くまで開かない函谷関の関所を、部下に鶏の鳴き声を真似させて開けさせた。
 ある夜、清少納言のもとへやってきた大納言藤原行成。しばらく話をした後、そっけなく帰ってしまう。翌朝、「鶏の鳴き声にせかされてしまって」と言い訳の文をよこした。清少納言は「うそおっしゃい。中国の函谷関の故事のような、鶏の空鳴きでしょう」と答える。行成は「関は関でも、あなたに逢いたい逢坂の関ですよ」と弁解する。そこで歌われたのがこの歌。
 「鶏の鳴き真似でごまかそうとも、この逢坂の関は絶対開きませんよ」。機転の早さと深い教養で即座に男達をやり込める。さすがは才女・清少納言。



Posted by biwap at 06:38 │道草百人一首