2014年07月10日
海幸彦と山幸彦
勝手に読む古事記・8
ニニギとコノハナサクヤビメから生まれたのがホデリ(海幸彦)とホオリ(山幸彦)。実際は三兄弟なのだが、例によって真ん中のホスセリはすぐに物語からいなくなる。兄のホデリは海で魚を取り、弟のホオリは山で獣を取っていた。ある日、弟のホオリがお互いに使っている道具を交換しようともちかける。しぶる兄から借りた大切な釣り針をホオリは海でなくしてしまう。潮流の神シホツチがあらわれ、海の神ワタツミの住む宮に行くよう教えてくれる。竹で編んだ籠船に乗りワタツミの宮にたどり着いたホオリは、海の神の娘トヨタマビメと出会いねんごろになる。
海の神ワタツミにも気に入られ、ホオリはトヨタマヒメを妻にして海の底の宮殿で楽しい日々を送った。いつの間にか3年の月日が経っていた。ホオリはここへ来た理由をふと思い出し、急に憂鬱になった。海の神ワタツミが海中の魚に呼びかけ釣り針を探させた。赤い鯛の喉から釣り針は見つかり、ホオリは日向に帰っていくことになる。ワタツミはホオリに兄を従わせる策を授けた。
ワタツミは水を操ることにより、ホオリを豊かにし、兄のホデリを貧しくした。生活に窮したホデリが怒って攻めてきた。ホオリはワタツミからもらった二つの真珠の呪力で兄を降参させた。このことから、ホデリの子孫は、未来永劫ホオリの子孫である天皇家に恭順を尽くすことになる。どちらが悪いのかわからない話である。ホデリの子孫は隼人と呼ばれる。九州南部の辺境の人たちを指す呼称で、北の辺境に住む人たちを蝦夷(エミシ)とよぶのと対になる。そこには、中央の側の差別意識が色濃く現れている。古代の宮中では、宮門の警護にあたる隼人が犬の鳴き声を発し仕えていたと言われる。



Posted by biwap at 06:08
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