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2019年09月06日

コスタリカへの道「松川」

コスタリカへの道「松川」

コスタリカへの道「松川」

 長野県松川町。日本の屋根と呼ばれる中央アルプスと南アルプスに囲まれた美しい「くだものの里」。自分の故郷のように何度も行ってみたくなる場所だ。

コスタリカへの道「松川」

 山麓特有の扇状地と広い河岸段丘が広がり、鮮やかな緑の果樹園、宝石のような果物が季節ごとに実る。長野県といっても積雪量は少なく、生活しやすい穏やかな地域だ。

コスタリカへの道「松川」

 かつては養蚕が主力産業だったが、1929年に起きた世界恐慌と生糸の暴落によって生活基盤が大きく揺らいだ。農村が困窮していく中、人々は「自力経済更生」をスローガンに掲げ新たな産業を興そうとした。

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 この土地の特性である「昼夜の寒暖差が大きいこと、日当たりが良いこと、段丘や山麓などの扇状地があること」を活用して、りんごや梨の栽培をスタートさせた。町全体の協力で推し進められたこの産業は、大きく発展し、100年経った現在、松川町は「くだものの里」としてその名が知られている。

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 下伊那地域は、長野県の最南端。山を隔て静岡県(遠州)、愛知県(三河・尾張)、岐阜県(美濃)と接している。古くから三州・遠州・秋葉の三つの街道がこの地を通り、人や物の交流が活発に行われた。そしてそこに多様で個性豊かな文化が形づくられていった。

コスタリカへの道「松川」

 そんな松川町で新しい交流の芽が育ち始めている。松川町とコスタリカは、2012年よりJICA(国際協力機構)と連携した研修事業をきっかけに交流がはじまった。コスタリカからの研修員を受け入れ、町からも専門家を派遣するなど、相互交流を行ってきた。

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 研修事業や草の根技術協力事業により築いた縁から、2020年五輪大会におけるコスタリカのホストタウンに登録された。参加国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を「ホストタウン」とする事業である。

コスタリカへの道「松川」

 そんな中、松川町はコスタリカへ高校生を派遣する事業を行っている。異文化交流を通じて、多様な価値観を共有することは勿論のこと、この交流を通じてこれからの地域を担う「人財」を育てたいという狙いがある。

コスタリカへの道「松川」

 コスタリカについて町のホームページは次のように説明している。
<コスタリカ共和国は、世界一幸福な国として知られる中米の国です。四国と九州を合わせたくらいの大きさの国土には、美しいビーチや熱帯雨林、活火山などの豊かな自然が広がり、地球上の動植物種の約5%が生息すると言われています。
 コスタリカは、国をあげて自然を大切にしており、国土の約1/4が国立公園・自然保護区になっています。また、国内電力の90%以上を再生可能エネルギーで賄う再生可能エネルギー先進国でもあります。
 そんなコスタリカは、あまり知られていませんが、英国のシンクタンクであるニュー・エコノミクス財団が発表する「世界幸福度指数」第1位に輝きました。
 また、コスタリカは、常備軍を持たない平和を愛する国でもあります。長い内戦を経て、1949年、常備軍の撤廃を宣言しました。国民の幸福のため、いままで軍事に使っていた予算を教育や医療、環境保全などに充てています。>

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 憎悪・敵意・侮辱の渦巻く昨今のイヤな空気。コスタリカに教えられるのは、「格差・差別・貧困」との闘いと「非武装の理念」は分かちがたく結びついているということだ。人間性豊かな文化や教育は、「憎悪・敵意・侮蔑」を退けていく。松川町の踏み出した一歩は、私たちの社会にとっても大きな一歩なのかもしれない。

コスタリカへの道「松川」