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2019年09月02日

黒金星と呼ばれた男

黒金星と呼ばれた男

 しかしとんでもない映画を作るものだ。見終わって思った。空っぽの嫌韓脳なんかじゃとても太刀打ちできない。レベルが違い過ぎる。『タクシー運転手』『1987、ある闘いの真実』をご覧の方は必見。

黒金星と呼ばれた男

 北朝鮮の核開発をめぐり緊迫する1990年代の朝鮮半島。軍人だったパク・ソギョンは北の核開発の実態を探るため北朝鮮に潜入する命令を受ける。工作員としてのコードネームは「黒金星(ブラック・ヴィーナス)」。

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 事業家に扮したパクは3年にもおよぶ慎重な工作活動の末、北朝鮮の対外交渉を一手に握るリ所長の信頼を得ることに成功。北朝鮮の最高国家権力である金正日と会うチャンスをものにする。

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 しかし1997年、韓国の大統領選挙をめぐる祖国と北朝鮮の裏取引を知る。自分が命を賭けた工作活動は何だったのか。パクは激しく苦悩する。

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 派手なアクションもロマンスも全くないスパイ映画。暗い色彩の中に緊迫した心理サスペンスが展開する。劇中に登場する「浩然の気」とは、公明正大でまったく恥じることのない精神の意。信頼、友情、道徳的勇気、そして政治の裏側にある壮大な歴史の闇。本当にとんでもない映画だ。

黒金星と呼ばれた男

 韓国には「北風が吹く」という言葉がある。選挙や政権の危機が迫ると、北朝鮮に関する事件が起き、国民世論が変化するという意味だ。北朝鮮の脅威があると、ハト派的な民主派よりも強権的な政権与党が支持を伸ばす。韓国と北朝鮮の軍事独裁政権はお互いを必要としていた。
 北朝鮮の脅威を国難と称し選挙に勝利したわが政権。今度は韓国バッシングに総力を挙げている。いや、正確には韓国の民主政権がどうにも目障りなようだ。わが政権の一番の脅威は「民主主義」に国民が目覚めることなのだ。国民には見せたくない「韓国」。私たちはまず映画館に見に行こう。