
2018年08月25日
国のためではなく

U-20ワールドカップ(W杯)フランス大会。日本代表は準々決勝で、ドイツ代表に3-1で勝利。試合終了直後、起き上がれないドイツ選手に歩み寄った日本人選手。傍らに座り込むと、何事か声をかけている。うなだれていたドイツ人選手も上半身を起こし、右手でがっちりと握手。
W杯公式インスタグラムに公開された画像が話題となった。「遺恨がなく、全力を尽くした試合が終わればお互いにリスペクトし合う仲間だ」

「思い切り振り切ったらバーだった。惜しかったで、終わりにしたくない。まだまだもっと突き詰めていきたい」
準決勝イングランド戦。ドリブル突破で放ったミドルシュートは惜しくもバーを直撃。決勝スペイン戦。宮澤ひなたは、再びミドルシュートを放つ。強い意志が乗り移ったかのように、ボールはゴールネットを揺らした。

試合を追うごとに各国ファンの評価は上がっていった。「彼女らは傑出している」「なんて美しいサッカーだ」「華麗な攻撃と素晴らしい守備」「卓越した判断の速さと創造性」
フィジカルとスピードで圧倒し、技術と組織力を向上させてきたヨーロッパ勢。それにもかかわらず、勝つべくして勝った「ヤングなでしこ」の強さとは何なのか。
「最高のチームワークと笑顔」と監督は答えている。国のためでも、メダルのためでもない。「サッカーが大好きだ」という、スポーツ選手にとって当たり前のピュアな心が、そこにはまだ生きていたのかもしれない。

今回のU-20優勝で、日本は史上初のW杯全カテゴリー制覇となった。日本の女子サッカーが、その恵まれない環境の中にあっても、世界トップレベルの実力であることを証明してみせた。
メダル獲得競争のバカ騒ぎに明け暮れるメディアは、いまだにそのピュアな心に気づくことはない。

Posted by biwap at 16:43