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2016年08月29日

祈れども逢わざる恋

道草百人一首・その86
「うかりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを」(源俊頼朝臣)【74番】

祈れども逢わざる恋

 源俊頼朝臣(ミナモトノトシヨリアソン)。百人一首71番大納言経信(ツネノブ)の3男。藤原定家の祖父、藤原俊忠(トシタダ)の屋敷で、「祈れども逢わざる恋」という題で詠んだ歌。
 彼女と恋仲になりたいのに、冷たい態度で振り向いてくれない。そこで大和国にある初瀬の長谷寺に祈ったものの、相手はますます冷たくなるばかり。「初瀬の山から吹き下ろす山おろしみたいに、より厳しくなれなどと祈らなかったのに・・・」
 「うかりける」は「憂かりける」。「思い通りにならない、つらい」とか「つれない」という意味。まさにこの世は「憂き世」。観音さんは、いろいろなものに姿を変え衆生を救ってくれる。十一も顔があったり、千も手があったりすると、何とかしてくれそうなのだが、ちゃっかりとした恋の願いは聞いてもらえなかったようだ。