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2015年01月21日

「朝鮮」を席巻した近江商人

「朝鮮」を席巻した近江商人

「朝鮮」を席巻した近江商人

 ソウルの繁華街・明洞(ミョンドン)を歩くと、目印になる高い建物「ミリオレ」。実はこの場所に1933年から45年まで賑わっていた百貨店があった。三中井(ミナカイ)百貨店。地上6階、地下1階。白亜の威風堂々たるルネサンス様式の建物だった。三中井百貨店は、日本の植民地「朝鮮」・「満州」に店舗を展開。上の絵は、旧「満州」に建てられたもの。中江勝次郎が、滋賀県神崎郡南五個荘村金堂で創業した三中井呉服店がルーツ。1905年、大韓帝国に渡り大邱の西門市場付近に久次郎・富十郎・準五郎の兄弟4人で三中井商店を設立した。その後、店舗を次々に展開。大邱・平壌・釜山・元山・晋州・大田・群山・木浦・興南・光州・新京など18店舗を持つ百貨店チェーンをつくり上げた。日本にも店舗を持ち、一時期は当時最大であった三越の売上を超えていた。しかし、日本の敗戦とともに対外資産の全てを失い、三中井百貨店は消滅した。勝次郎亡き後、家族は五個荘へ戻り、1949年に煎餅店を開く。その後、洋菓子店に衣替え。1950年代に彦根市本町に「三中井」という洋菓子店を開いている。現在、彦根夢京橋キャッスルロードにある「三中井」洋菓子店がそれである。ロールケーキが有名で、三中井百貨店のシンボルマーク「井桁菱」の紋が受け継がれている。勝次郎の生家は五個荘金堂町に現存し、近江商人屋敷中江準五郎邸として一般公開されている。詳しくは、林廣茂著「幻の三中井百貨店」(晩聲社)を。

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