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2013年12月07日

「小日本主義」の夢

1956年、鳩山由紀夫の祖父・鳩山一郎の後任として首相の座についたのが、石橋湛山である。戦前、ジャーナリストとして全体主義化・軍国主義化していく日本の潮流を「大日本主義の幻想」と厳しく批判し、「小日本主義」を唱えた。植民地や軍備の放棄を訴えるその主張に、メディアも世論も耳を傾けることはなく、戦争は拡大し破滅へと向かった。その後、政界に転身し、大蔵大臣や通産大臣を経た後、内閣総理大臣に選出される。湛山にとって、「大日本主義」は政治的・軍事的なハード・パワーの発想であるのに対し、「小日本主義」は経済的・文化的なソフト・パワーが国の実力であると考える思想であった。民衆からの期待も高かったにもかかわらず、遊説中に肺炎にかかり退陣してしまう。在職期間はわずか65日。その後、代わって首相の座についたのが、現首相の祖父・岸信介。多くの夢は頓挫し、官僚の力をバックに新たな「大日本主義」が推進されていく。
「小日本主義」の夢