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2013年11月17日

旅に病んで夢は枯野をかけ廻る

伊賀上野にある松尾芭蕉の生家跡を訪ねました。芭蕉は江戸時代の初め、言葉遊びが中心だった俳諧を、芸術の域に高めた人物です。五・七・五の俳句は、世界で一番短い定型詩。このシンプルさの中に広がる世界の深さは、興味深いものです。「古池や蛙飛びこむ水の音」。池のほとりで蛙を見ているのではありません。どこからか聞こえてきた「蛙飛びこむ水の音」に、「古池」という幻影が現れてくるのです。有名な「おくのほそ道」の旅を経て、芭蕉の思索は「軽み」の境地へと深まりを見せていきます。さまざまな嘆きに満ちた人生を、微笑を持って乗り越えていくたくましさ。「人生は、軽み」。また一つ、素敵な言葉に出会いました。
旅に病んで夢は枯野をかけ廻る