2013年10月02日
火を盗むもの

プロメテウスは、天上の火を盗んで人間に与えた。若き日のマルクスは、自らの姿をギリシア神話のプロメテウスに重ね合わせた。プロメテウスが人間に与えた火は、技術、希望、高度な文明の比喩。マルクス主義の中にある、生産力主義が垣間見える。人類が幸せになると信じた火。確かに人類は火(文明や技術)から多くの恩恵を受けた。しかし、その火は、武器を作り、戦争を起こす恐ろしい火でもあった。人間の力ではとうてい制御できない、アトムの火をも使い始めた。ゼウスは、プロメテウスを山頂の巨岩にくくりつける。大鷲に肝臓をついばまれながらも、不死であるため、肝臓は夜の間に再生してしまう。この激しい苦痛が永劫回帰する。火を盗むもの。その英雄的行為を否定することはできない。しかし、何かが人間に謙虚さを求めている。
Posted by biwap at 06:47
│ギリシア神話の神々