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2023年03月24日

世界はどう動くのか

世界はどう動くのか

 世界はどう動いていくのか。新聞やテレビは世界を「切り取って」伝えているのだが、その「切り取り方」を問わない限り本当のことは見えてこない。いくつもの補助線を引いて、解に近づいていくしかない。見えているもの、見せられているものがすべてだと思わないことだ。
 時々、読んでいる田中宇の国際ニュース解説(無料版)を紹介したい。視点は面白いのだが、少しアクが強すぎるので抜粋引用する。

「中露モスクワ会談の意味」
 中国の習近平主席のロシア訪問が終わった。マスコミは中露敵視・中露結束軽視の歪曲報道ばかりだ。ウクライナ戦争だけでなく、米覇権の崩壊と多極化という大きな流れの全体にとって大事な転換点になりそうだ。今のところまだ明確な分析に出会っていない。自分で考えてみる。
 今、米欧が金融崩壊してドルの基軸性が失われていきそうな中で、中露主導の非米的・多極型の世界が立ち上がってきている。今回の習近平の訪露は、その立ち上がりを象徴する出来事だ。中露の政府は最近、多極化とか多極型世界といった言葉を頻繁に使うようになっている。習近平の訪露の主眼は、中露結束による世界多極化推進・多極型世界の構築の加速であろう。
 習近平は昨秋の共産党大会で国内の独裁体制を固めた後、外交大国になる道を猛然と走り出し、非米側の金資源本位制を強化するために大産油国であるサウジとイランの和解を仲裁し、それが終わるとすぐにロシアを訪問してプーチンと多極型の世界運営について話した。今回の習近平の訪露自体が、中国がロシアと共同で米覇権崩壊後の世界を作っていこうとしていることを示しており、多極型を志向する中国の姿勢を表している。多極体制は、中国(など非米諸国)を大きく安定・発展させる。
 中国のウクライナ和平提案に対し、米国は「中国はロシアのプロパガンダをオウム返しにしているだけであり、信頼できる仲裁者でない」と一蹴している。米欧は中国の和平案を無視して、追加の兵器弾薬をウクライナに送る戦争扇動策を決めている。だが対照的にウクライナのゼレンスキーは、中国の和平提案を歓迎し、習近平とバーチャル対談したいと言い続けている。ゼレンスキーは米英の傀儡でなかったのか?欧米がウクライナを軍事支援できなくなったら、ウクライナは中国の和平仲裁に頼るしかなくなる。ゼレンスキーはそのへんを見越している。
 中国はイランとサウジの和解を成功させ、ウクライナの仲裁を提案して、短期間で外交大国にのし上がった。中露は、共同でアフリカの安定化策も手がけ、これまでアフリカを覇権下に入れて混乱させるだけだった米仏の影響力を排除している。中露は、米国側が起こした世界各地の戦争を停戦させ、米国流の不安定化策を無効にする策を大々的にやり始めている。
 非米諸国は、これまで米国に逆らったら孤立化・経済制裁・政権転覆されて潰されただけだったが、今後は中露に頼って米国からの敵対に対抗し続けるようになる。これまで黙って不本意に対米従属してきた非米側の諸国が、中露の側について対米自立して非米型の新世界秩序に参加していく傾向になる。
 最近インドやブラジル、南アフリカといった大国群や、トルコやベトナムといった中規模諸国が米国側から非米側への移転を加速している。先進諸国、とくに敗戦後に米英から徹底的に洗脳された日独は、米諜報界による情報歪曲を軽信し続けているので、今の中露による多極化の動きを認識できず、米覇権とともに沈没しつつあるが、途上諸国や新興諸国はもっと非米的な傾向が強いので多極化の流れをつかんでいる。
 ウクライナの和平を提案した中国と対照的に、G7など米国側はウクライナの戦争を続ける姿勢をとり続けている。5月の広島でのG7サミットでは対露制裁とウクライナ戦争支援の強化を決める予定で、その下準備として、G7議長である日本の岸田首相が米国から加圧(命令?)されて3月21日にウクライナを訪問した。米国としては、日本を中国のライバルとして外交戦をさせるために、習近平の訪露と重なる日程で岸田をウクライナに行かせた観がある。
 習近平の訪露、岸田のウクライナ訪問と同期して、米欧の金融や経済の崩壊傾向が続いている。米金融システムは1~2年以内に全崩壊していきそうだ。金融が破綻したら米覇権も終わり、非米的で多極型の世界が席巻する。米国と傀儡諸国で構成するG7やNATOは無意味・機能停止する。米覇権が崩壊していくのだから、日本が米国の傀儡として中国と対抗したら必ず負ける。
 英国は、戦車の弾として劣化ウラン弾をウクライナに送ることにした。米NATOはコソボやイラクでも劣化ウラン弾を使って問題になった。英政府は「劣化ウラン弾は危険でない」と言っているが、少し前まで米英マスコミは「ロシア軍が劣化ウラン弾を使ってウクライナ人を放射能汚染している」とウソを喧伝していた(ソ連軍は劣化ウラン弾を持っていたが、ロシアは2000年までにそれらを処分し、その後は使っていない)。
 米英マスコミ自身が、劣化ウラン弾は戦争犯罪の道具であることを認めたことになる。G7サミットは、米国に原爆を落とされたヒロシマで行う。二度と核物質を戦争に使ってはならないと、日本人は80年近く祈ってきた。その象徴が広島だ。それなのに、核物質で戦争犯罪の道具である劣化ウラン弾を使うウクライナ戦争の支援を、G7サミットが広島で高らかに宣言する。ウクライナ(今はもうロシアに編入)のロシア系住民が劣化ウラン弾の標的にされることをマスコミは言わない。



Posted by biwap at 09:31 │辛口政治批評