2016年11月03日
沖の離れ石
道草百人一首・その97
「わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし」(二条院讃岐)【92番】

私の着ている衣の袖は、例えていえば引き潮の時でさえ海中に隠れて見えない沖の石のようなもの。誰にも知られず、そしてあなたにも気づかれることもなく、涙の海水(ウシオ)の下に沈んで乾くひますらないのです。「人知れぬ密かな恋心」が切々と伝わってくる。
二条院讃岐(ニジョウインノサヌキ)。源三位頼政(ゲンサンミヨリマサ)の娘。源頼政は、平安時代末期の保元・平治の乱で勝者の側に属し、平氏政権下で源氏の長老として中央政界に留まった人物。平清盛からも信頼され、武士としては破格の従三位に昇り公卿に列した。だが、後白河天皇の皇子・以仁王(モチヒトオウ)と結んで平氏打倒を計画。諸国の源氏に平氏打倒の令旨を伝えたが計画が露見。平氏の追討を受けて宇治平等院の戦いに敗れ自害した。
讃岐の父・頼政こそ、平家から見ても源氏から見ても「沖の離れ石」そのもの。そして当の讃岐の人生も「人こそ知らぬ 乾く間もなし」だったのだ。激動の時代を生き抜いた女流歌人・讃岐。しかし、その涙は意外にジメッとしたものを感じさせない。
「わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし」(二条院讃岐)【92番】

私の着ている衣の袖は、例えていえば引き潮の時でさえ海中に隠れて見えない沖の石のようなもの。誰にも知られず、そしてあなたにも気づかれることもなく、涙の海水(ウシオ)の下に沈んで乾くひますらないのです。「人知れぬ密かな恋心」が切々と伝わってくる。
二条院讃岐(ニジョウインノサヌキ)。源三位頼政(ゲンサンミヨリマサ)の娘。源頼政は、平安時代末期の保元・平治の乱で勝者の側に属し、平氏政権下で源氏の長老として中央政界に留まった人物。平清盛からも信頼され、武士としては破格の従三位に昇り公卿に列した。だが、後白河天皇の皇子・以仁王(モチヒトオウ)と結んで平氏打倒を計画。諸国の源氏に平氏打倒の令旨を伝えたが計画が露見。平氏の追討を受けて宇治平等院の戦いに敗れ自害した。
讃岐の父・頼政こそ、平家から見ても源氏から見ても「沖の離れ石」そのもの。そして当の讃岐の人生も「人こそ知らぬ 乾く間もなし」だったのだ。激動の時代を生き抜いた女流歌人・讃岐。しかし、その涙は意外にジメッとしたものを感じさせない。
Posted by biwap at 06:24
│道草百人一首