
2016年08月13日
言葉で立ち向かえ



「室井佑月(ムロイユヅキ)」が面白い。肝心な時に筋を通さない人間は、結局、誰からも信用されなくなる。
≪8月25日に告示し、9月7日に投開票を行うという民進党の代表選挙。報道によれば、野党間の連携の在り方について、議論し、代表が選ばれるようだ。具体的にいえば、共産党とこのまま連携していいのかってことで揉めている。たしかに揉めていることは事実だけれど、あたしはこの件に関し、報道のされ方に疑問を持っている。
なぜ、共産党と連携することを嫌がっている議員の声ばかりピックアップされるんだろうか。もう一方の、自民党ときっちり対峙できるよう民進党も「格差是正」「TPP反対」「憲法改正反対」「脱原発」でほかの野党とがっちり力を合わせていくべきだ、という議員の声をなぜ取り上げない?
一応、岡田代表の声として、「参議院選では野党共闘がうまくいった」というぐらいのものは取り上げられている。が、積極的に「反自民の受け皿になるよう、ますます野党は政策から連携を強めるべきだ」という議員の声は取り上げられない。
おかしいったらない。そういう発言をする人がいないのか? たとえば、連合などの組織の応援を失ったら、選挙で不利になると思っているとか?
違うよな。衆議院選のことを考えれば、自分の地盤にほかの野党候補を立てられないほうがいいわけで、とすれば積極的に野党の連携を訴える議員だっているはずだ。
と、ここまでしらばっくれて書いてしまったが、あたしは知っている、民進党の中に「格差是正」「TPP反対」「改憲反対」「脱原発」を強く訴える人も多くいることを。べつに隠してない、その人たちは堂々と自分の意見をいっている。
つまり、あたしがなにをいいたいかというと、これってマスコミの印象操作なんじゃないかってこと。
マスコミの報道のされ方によると、まるで選挙に勝ちたい一心で、共産党と組んでしまったおろかな民進党となってしまう。
そういった意地悪な意図に気づかず、「野党統一候補を、これからの既定路線かのように結論づけるべきではない」などと、嬉々としてマスコミの前で発言している民進党の一部議員はほんとうに馬鹿だ。
まさか、自分らがさんざん意地悪されてきたマスコミ報道、「共産党と組むと、民進の保守の票が逃げる」 みたいな嘘くさいニュースを心から信じてるってわけじゃあるまいな?
ニュースより参議院選の結果で、はっきりわかったろ? 1人区で野党が共闘したから、接戦で勝てたところや負けたところがあったんだって。
わかってないのかもしれない。都知事選でのこの人たちのやり方を見れば。
とにかく、思想が真っ二つに分かれる代表戦、「負けたほうが党を出て行く」ぐらいにいわないと、穴埋めニュースみたいに扱われる。そして、国民から馬鹿にされてる、といった印象操作をまたされる。≫(「週刊朝日」2016年8月12日号)
≪みんな、舛添さんの公金ちょろまかし騒動は興奮したね。なに? 舛添さんが辞任することになって寂しい? それって、「舛ロス」っていうんだって。
なぁに、少しの我慢よ。すぐに、新たな生け贄が出てくるって。
これまでもそうだったじゃん。舛添さんの前にはベッキーちゃん、小保方さん、佐村河内さん……。
え? 怖くなってきた? 大丈夫。公開処刑される人々は、それぞれの業界で成功し、良い目を見てきた人だもん。
あたしら、成功したことないじゃんか。死なないから生きているだけの、我々がターゲットになるわけないわ。
いやぁ、ほんと公開処刑は楽しい。代わり映えがしない毎日が意外といちばんなんだって、しみじみと思えるよねぇーー。
これが今この国の大多数なのだろうか。醜いよ。自分のほうがマシという気持ちが生きる支えで、そのために他者を叩く。ヘイトスピーチ団体と一緒だな。
6月16日付の思想家・内田樹さんのブログ「内田樹の研究室」に、フランスのルモンド紙を訳した記事が載っていた。この国の舛添騒動について書かれた記事だ。
ルモンドの情報筋によれば、<この攻撃は計画的なもので、官邸の暗黙の同意を得て行われた>という。
そして、<政府にとって不都合ないくつかのニュースが結果的に報道されなかった>という。
<知事についての報道の開始は、英紙「ガーディアン」が2013年にブラック・タイディングに対してなされた130万ユーロの資金流入についてのフランス当局の捜査について報じた5月11日と同時期である>
東京オリンピック招致のための賄賂疑惑だ。
<日本では、このニュースは二人の人物を巻き込む可能性があった>
森喜朗元首相とJOCの会長の竹田恒和さん、バッチリ名前も書かれていた。
それだけじゃない。
<(舛添騒動は)「パナマ文書」の暴露とも同時期だった。(中略)日本のメディアはこれについてほとんど何も報道していない>
<7月10日の参院選の選挙戦のスタートが丸ごと隠蔽された。これはさまざまな批判、とりわけ経済政策の失敗についての批判を回避しようとしていた政府にとってはまことに好都合なことだった>
内田さんはこの記事を受け、
<自国で起きていることの「文脈」を知るために逐一海外のメディアを参照しなければならないという恥ずべき現実を日本のメディアはどれくらい実感しているのだろうか>と書かれていた。
はっきりそういいたくないけれど、あたしは「恥ずべき現実」というものの中に、この国のメディアと、それを喜ぶこの国の人たちも確実に含まれていると思う。それぞれの心の後ろ暗さが、権力者に良いように利用される。そして、物事が正しく動いていかない。 ≫(「週刊朝日」2016年7月8日号)
Posted by biwap at 06:26