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2015年05月10日

Small is Beautiful

Small is Beautiful

 「歴史上もっとも暴力的な技術、原子力の政治的含意を考えてみよう。今日の核開発計画が実行されるとすれば起こる、プルトニウムや放射性物質が至るところに存在するとき、どんな安全対策が必要になるかを考えていただきたい。これらの恐ろしい物質が環境にもれ出ることはなんとしても防がなくてはならないし、どんな場合にもコントロール下に置かなくてはならないし、また決して悪しきテロリストに渡るようなことがあってはならない。技術と自由の連関は明らかである。」
 「いかに経済がそれ(原子力)で繁栄するからといって、安全性を確保する方法もわからず、何千年、何万年の間、ありとあらゆる生物に測り知れぬ危険をもたらすような、毒性の強い物質を大量にためこんでよいというものではない。そんなことをするのは、生命そのものに対する冒涜であり、その罪は、かつて人間のおかしたどんな罪よりも数段重い。文明がそのような罪の上に成り立つと考えるのは、倫理的にも精神的にも、また形而上学的にいっても、化け物じみている。」
 ドイツ生まれのイギリスの経済学者E・F・シューマッハーの著書「スモール・イズ・ビューティフル」の一節。一見中立に見える科学技術も、実は社会のあり方を深く規定していく。巨大技術の持つ暴力性。その象徴を「原子力」に見たシューマッハーは、「適正技術」を主張する。それは、「小さいこと・簡素なこと・安い資本でできること・非暴力的であること」。実に示唆的だ。そして驚くべきことは、この書物が40年以上前に書かれたということ。どのような社会を私たちが選択していくのか、それはどのような技術を求めるのかということであり、そして私たちがどのように生きたいのかということでもある。巨大神話の呪縛を離れ、もっと“Smart Small Simple”に。