2015年04月20日
ピーチで行くソウル
ピーチで行くのは初めて。関空の第2ターミナルまでは距離があり、大きな荷物を持って送迎バスに乗るのは大変だ。チェックインは簡単。レシートのようなチケットが出てくる。手荷物検査も出国審査も小規模なのですんなり。待合所はこんな感じ。まるで田舎の駅? 歩いて飛行機の搭乗口へ。
7時50分のフライトで、9時30分にはもう仁川空港だ。ホテル直行のリムジンバスを探し乗り込む。市内に入ると例の如く渋滞。ところがバスはスイスイと走り抜ける。道路中央に設けられたバス専用レーン。まるで路面電車の上をバスが走っているようだ。素晴らしい。

パックツアーだと免税店に連れ回されたり、せっかく早く出てもフリーになるのは15時過ぎ。今回は11時過ぎにはホテルに荷物を置き、昼食へ。帰りも20時40分のフライトなので、実質フリータイムが存分にある。ただし、自己責任も。
何度も来ている場所なので、観光しなければという強迫観念もなく、ブラブラと街歩きを楽しめる。2日目は、鉄道でスウォンへ。ソウルから1時間くらい。以前に比べ街が清潔でシャレた感じに変身している。ユネスコ文化遺産の華城(ファソン)を回る。しかし、ここに来た真の目的は。
スウォンといえばカルビ。15年前に観光案内所で教えてもらったお店が最高。日本語の通じない所がGOOD。旅の楽しみは、コミュニケーション。それにしても、つけ合わせがズラッと並びワタリガニ(ケジャン)までついてくる。韓国料理は焼肉のイメージとは逆に、野菜たっぷり。薬膳料理を食べているようで、体の調子が良くなって来る。
ソウルに戻る。お気に入りの散歩道は、仁寺洞(インサドン)から北へ入っていった北村周辺。現代美術館もオープンし、芸術的でオシャレな店やカフェが並ぶ。以前撮った写真の場所も、今は人がいっぱい。手作り市もやっていて、市民感覚が広がっている。
韓国人はラテン系だ。日本人の1.35倍位は元気溌剌で、感情表現も強い。辛いものはあくまで辛く、甘いものは甘い。意外とロマンティストで倫理的なところがある。人間関係の距離感はとても密接。一見無愛想だが情が深い。要するに違うから面白い。
「韓国へ行ったら怖い」と言う。「怖そうだ」が、いつの間にか「怖い」という断定になり、それが社会意識として広がっていく。本当に行った人がそう言っているのかどうかは定かではないのだが。とにかく物事は「接すること」で半分以上は解決するはず。自分がどんな顔をして相手と向き合っているのか、そこから考えてみることだ。
ちょうど「セウォル号事件」から1年。沈没船で死んでいった高校生たち。その死はあまりにも痛ましかった。追悼と怒りのデモが繰り広げられていた。日本ではあまり報道されていないが、こうした市民運動は事件の真相究明と政府批判だけではない。金儲けしか眼中にない「新自由主義」そのものを問題としている。軍事独裁政権に対し、血を流し戦ってきた民主化運動の伝統がそこにはある。アジアの中でも、私たちは共有する価値観を多く持つ。嫌韓の人たちが言う「韓」とはいったい何を指すのか、いつも不思議に思ってしまう。

いよいよ帰国の日の夕方。またホテルの前でデモ行進と集会が始まった。交通が規制される。まさか。ホテルの前につくはずの空港行きリムジンバスが来ない。急ぎ足で、教えてもらった別のホテルへ。ところがそこでもバスはいつ来るかわからないそうだ。飛行機に乗れない。タクシー?いや、空港鉄道があった。地下鉄の駅まで走り、ソウル駅から空港鉄道に滑り込む。座席指定の直通特急。料金はリムジンバスの半額。
決められたパック旅行では、旅の楽しさは味わえない。道に迷い、道を尋ね、食堂へとびこみ、失敗し、感動し、出会う。なにもかもがパック化されていく便利な世の中。でも、だからこそ自由な「旅」にあこがれる。格安航空券はありがたい。たとえ座席は窮屈、通路は狭く、水一杯出なくても、やっぱり次も「ピーチ」かな。