› 近江大好きbiwap › 仏像を読む › まずは現世利益

2015年03月06日

まずは現世利益

仏像を読む・2 薬師如来

まずは現世利益
   (栗東市安養寺薬師如来坐像)

 宗教には必ず死への意味づけがある。しかしその前に、その死を招く病に打ち勝つ力が欲しい。見事な実利主義だ。天武天皇は妻・持統の病気平癒を願い薬師寺を建立。エキゾチックで不可思議な呪力が人を魅了した。7世紀頃から流行した薬師如来。その名の通り左手には薬壺を持つ。東方の浄瑠璃世界(ジョウルリセカイ)に住み、日光・月光菩薩を脇侍(ワキジ)とする。さらには眷属(ケンゾク)として十二神将が加わる。この世の病を癒し、この世に幸福をもたらすためには、魔を凌駕する圧倒的なパワーが必要なのだ。仏教はけっして深遠な哲学として伝来した訳ではない。