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2014年12月21日

抵抗する人間は美しい

抵抗する人間は美しい

 インドラ(帝釈天)は、アシュラ(阿修羅)の娘を連れ去ってしまった。烈しく怒ったアシュラはインドラ(帝釈天)に戦いを挑む。しかし、正義の神アシュラが、力の神インドラに勝てる訳がない。戦いはアシュラの敗北に終わる。それでもアシュラはインドラに戦いを挑み続ける。戦いは何度繰り返しても、アシュラの負け。インドラは、ついにアシュラを神々の世界である天界から追放してしまう。
 阿修羅はサンスクリット語のアスラ(Asura)の音写。「生命(asu)を与える(ra)者」とも、「非(a)天(sura)」とも解釈される。ペルシャでは大地に恵みを与える太陽神とされたが、インドでは熱さを招き大地を干上がらせる太陽神となる。仏教では、戦闘神アシュラは釈迦の守護神となる。アシュラ(阿修羅)とインドラ(帝釈天)の戦いの場が「修羅場(シュラバ)」である。
 興福寺の阿修羅像は、凄惨な戦いとはかけ離れた無垢な少年の姿をしている。30年以上前に読んだ小説、 灰谷健次郎の「兎の眼」。小谷先生が、高校時代の恩師の言葉をふと思い出す。「人間は抵抗、つまりレジスタンスが大切ですよ、みなさん。人間が美しくあるために抵抗の精神をわすれてはなりません」。
 人生は修羅場。自分自身との戦い。けっして譲ってはいけない何かのための戦い。挫けそうな時、こうつぶやけばよい。何かに抵抗している人間の顔は美しい。



Posted by biwap at 07:03 │biwap哲学