2014年11月12日
猫と行平鍋
道草百人一首・その34
「たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む」(中納言行平)【16番】

飼い猫がいなくなった時、猫の皿にこの歌を書いて貼っておくと猫が帰ってくるというおまじないの歌。あなたと今別れて因幡の国に行きますが、その因幡の国の峰に生えている松の名のように、あなたが待っていてくれると聞いたならば、すぐにでも飛んで帰ってきますよ。任地の因幡へ出発する時から、イヤで仕方がなさそうである。作者・中納言行平こと在原行平(アリワラノユキヒラ)は、平城(ヘイゼイ)天皇の皇子・阿保(アボ)親王の子で、在原業平(アリワラノナリヒラ)の異母兄弟にあたる。彼も藤原良房の権力掌握の過程で左遷されたようで、2年ほどで帰京するも、何らかの理由で須磨に蟄居させられる。都への絶ちがたい思慕の情は、飼い猫に寄せる想いに通じるものだったのか。ところで、行平鍋というのがある。在原行平が、須磨で海女に塩を焼かせた故事に因(チナ)むらしい。その時用いた鍋に白い塩が現れ、それが雪のようだったので「雪平鍋」とも書く。
「たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む」(中納言行平)【16番】

飼い猫がいなくなった時、猫の皿にこの歌を書いて貼っておくと猫が帰ってくるというおまじないの歌。あなたと今別れて因幡の国に行きますが、その因幡の国の峰に生えている松の名のように、あなたが待っていてくれると聞いたならば、すぐにでも飛んで帰ってきますよ。任地の因幡へ出発する時から、イヤで仕方がなさそうである。作者・中納言行平こと在原行平(アリワラノユキヒラ)は、平城(ヘイゼイ)天皇の皇子・阿保(アボ)親王の子で、在原業平(アリワラノナリヒラ)の異母兄弟にあたる。彼も藤原良房の権力掌握の過程で左遷されたようで、2年ほどで帰京するも、何らかの理由で須磨に蟄居させられる。都への絶ちがたい思慕の情は、飼い猫に寄せる想いに通じるものだったのか。ところで、行平鍋というのがある。在原行平が、須磨で海女に塩を焼かせた故事に因(チナ)むらしい。その時用いた鍋に白い塩が現れ、それが雪のようだったので「雪平鍋」とも書く。
Posted by biwap at 06:29
│道草百人一首