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2014年09月27日

色と形がすべて

興味本位で西洋美術史28 抽象主義
色と形がすべて

 「コンポジションⅧ」。抽象絵画は何を描いてあるのかわからない。でも、音楽のメロディーだと思えば落ち着く。
 ワシリー・カンディンスキー。1866年モスクワ生まれ。29歳の時、モネの絵に衝撃を受け、法律家の職を捨てミュンヘン美術アカデミーに入学。表現主義の芸術サークル「青騎士」を結成。その間に最初の抽象画を手掛け、抽象絵画の先駆者となる。代表作「コンポジション」シリーズはこの時期に制作された。
 ロシア革命後、モスクワに戻る。レーニンは前衛芸術を「革命的」と認め、カンディンスキーは要職に就く。しかしスターリンの台頭と共に、「社会的リアリズム」が強制されるようになる。カンディンスキーは再びモスクワを離れ、ドイツへ向かった。抽象絵画の大嫌いなヒトラー政権誕生後は、パリへ移住した。
 具体的な対象を描かず、色と形を自在に構成しながら絵画空間を創造していく抽象主義。純粋絵画への志向が現代美術の扉を開けた。クラッシック音楽に変な歌詞をつける必要はない。見たまま、聞いたまま、ありのままを感じるだけ。