1952年、ロンドンに向かう船の途中、チャールズ・チャップリンは米国からの追放命令を受ける。この時期、米国で吹き荒れていたのは「マッカーシズム」。「共産主義者」追放の名のもと、偽リスト、偽証、歪曲、自白、告発、密告・・・。強引な手法で摘発を行い、リベラル派を社会から葬り去った。その主導者がマッカーシー上院議員。マッカーシーに協力した代表的な政治家が、リチャード・ニクソン、ロナルド・レーガン。最初のターゲットはハリウッド。「エデンの東」で有名なエリア・カザンは、実名を公表し仲間たちを売り渡した。追放されたドルトン・トランボは、別名で「ローマの休日」の脚本を書いた。最大の大物は、チャーリー・チャップリン。友人の映画人を救うため、ピカソらに応援を依頼。その行動が、非米活動調査委員会を怒らせた。マッカーシズムの恐怖に触発されて書かれた本が、リチャード・ホーフスタッター著「アメリカの反知性主義」。そして、「反知性主義」の妖怪は、今また日本を徘徊している。
Posted by biwap at 06:28
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芸術と人間