近江と遠江
近江国。古くは「淡海」と書き、都(大和国)からみて近くにある淡水湖という意味で「近淡海(チカツアハウミ)」と呼んだ。一方、都から遠くにある淡水湖・浜名湖。「遠淡海(トホツアハウミ)」。遠江(トオトウミ)の国である。
明治維新を迎え廃藩置県が行われると、近江国は大津県と長浜県に。次に、大津県が滋賀県に、長浜県が犬上県に改称。さらにそれが合併し滋賀県となる。遠江国は浜松県となり、さらに静岡県(旧駿河国)や足柄県の一部(旧伊豆国)と合併し、静岡県となる。
遠江、浜名湖沿岸に広がる温泉街・舘山寺温泉。フラワーパーク、動物園、遊園地などもある行楽地。温泉街の対岸には大草山(標高113m)があり、ロープウェイで渡ることができる。だが、規模の割に閑散とした印象。開湯は1958年。温泉源の湧出量減少、源泉温度低下。2006年から浜松市主導のもと新源泉の掘削。2008年、供給を開始し、現在に至る。地元の熱意が伝わるのか、とても丁寧な接客対応であった。
温泉街から北へ車で20分ほど行くと「井の国」。井伊家発祥の地。行基が創建したとされる龍潭寺は、井伊家を祀る菩提寺としても有名。2017年NHK大河ドラマの主人公は、戦国時代の女性城主・井伊直虎。遠江・井伊谷の女領主。「女地頭」とも呼ばれ、井伊直政の養母となる。徳川氏の家臣となった井伊氏は、江戸時代に譜代大名の筆頭として幕府を支えた。井伊直政は、近江国佐和山藩(彦根藩)の初代藩主である。
彦根にある龍潭寺は、井伊直政が佐和山城主になった際、遠江・井伊谷の龍潭寺を分寺し建立したもの。
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