やっと澄み切った秋の空。ソウルにはそんなワクワク感が漂っている。
ソウル市庁前広場。「市民民主主義」の象徴的な場所だ。様々な集会やデモが行われる。どこかの国とは違い、ソウル市は簡易トイレの設置、ゴミの後片付け、終電の時間延長に至るまで、主権者国民の便宜を最大限図る。南北融和という澄み切った秋の空は、間違いなくその延長線上にある。
朝一番のPeachで行くと、お昼前にはソウル市内を散策できる。
コリアハウスで民俗芸能を楽しんだ。伝統楽器の奏でる独特の音色と小気味よいリズム感に魅了された。
仁寺洞(インサドン)はすっかり観光化され、昔の落ち着いた魅力は消えてしまっていた。
伝統家屋が残る北村(プクチョン)も観光客が殺到。ボランティアの人たちが、大声を出さないよう呼び掛けているほどだ。
そんな訳で、ただあてもなく街歩き。なんでもない風景と人の姿の方が興味深くて仕方ない。
交通カードをポケットに入れて地下鉄を乗り歩く。人も街もオシャレだ。
意外な発見は南大門。「バッタもん」ばかり売っていると思っていた市場の一画。体育館位の場所に若いデザイナーたちがアクセサリーを制作していた。生き生きとした表情が魅力的。
三階は一面フラワースペース。まるで子どもの頃の、夜店が立ち並ぶ夏祭りの風景のようだ。
伝統的な市場が素敵。財閥やグローバル資本は国土をブルドーザーのようになぎ倒していく。しかし韓国政府は今、中小企業・個人商店を活発化し、個人消費を伸ばし、経済格差を解消する方向へと大きく舵を切ろうとしている。
大統領官邸(青瓦台)のすぐ西に位置する西村(ソチョン)。高いビルがなく、伝統家屋が残っている。
路地の中に入り込むと袋小路になる。コンパス片手に迷路を進む。
古びたパン屋さんかと思いきや、入ってみるとなかなかオシャレな喫茶店。
路地を突き抜けると市場に出た。一時はさびれてしまったのだが、地元の人たちの町おこしで賑わいが戻ってきたそうだ。
ロウソクデモで埋め尽くされたメインストリート。この日は、ソウル市のアリラン・フェスティバルが行われていた。露店が延々と立ち並び、あちこちでイベントが繰り広げられている。新しい時代を迎える「解放感」のようなものが伝わってくる。
最後は景福宮(キョンボックン)。秀吉の朝鮮侵略で焼かれ、日本の植民地支配下では朝鮮総督府の建物がそびえていた場所。今はすっかり修復された。
以前は団体の観光客が一団となって見学していたのだが、今は色々な国の人たちが思い思いに歩いている。
チマチョゴリを着たムスリムの娘さんたち。みんな屈託なく、晴れやかな笑顔だ。平和の訪れが人の心を穏やかにし、その表情をほころばせる。誰が再び戦争なんかするものか。そう最初に誓ったのは私たちの国だったのではなかったのか。
人権、民主主義、平和、共生、連帯。いつの間にかこの国は、私たちの前をはるかに進んでしまっている。