湖国の祈り竹生島

biwap

2016年04月07日 06:25






 長浜港発9時の船に間一髪で飛び乗り、竹生島へ。桜満開。観光地の桜は人だかりの喧騒だが、ここでは祈りの島に「春の命」が芽吹いていた。竹生島信仰を「能」に見てみよう。



 延喜帝(醍醐天皇)の臣下が、休暇を賜って竹生島参詣のため琵琶湖を訪れる。湖畔で出会った老いた漁師と若い女の釣り舟に便乗し、湖春のうららかな景色を楽しんでいるうちに竹生島へ着く。到着した一行は翁と女に案内され、島の守り神・弁才天を参詣。臣下は聖域に女が足を踏み入れていることを不審に思う。二人は、竹生島は女体の弁才天を祀り、女性を隔てないのだと切り返す。その後、女は人間ではないと明かし社の御殿に、老人は湖の主であると告げ波間へ消えていった。夜、参籠している臣下たちの前に、弁才天が来臨して妙なる舞を見せる。次いで琵琶湖の竜神が水中から出現し、宝珠を臣下たちに献上し舞い遊ぶ。ある時は天女となって衆生の願いをかなえ、ある時は下界の龍神となって国土を鎮める。衆生済度の誓いを現した後、天女は社殿に、龍神は湖水の波を蹴立て湖底の竜宮に姿を消した。(能「竹生島」)


 琵琶湖は竜の聖地。竹生島のまわりにとぐろを巻き、守り神として信仰されていた。その竹生島に祀られているのが、七福神の一つ「弁才天」。琵琶を弾く女神「弁才天」は、宇賀神(ウガジン)という蛇の神と同体。竜は蛇の姿でイメージされていたため、竹生島を守る「竜神」もまた「弁才天」と同体なのだ。能「竹生島」では、「弁才天」は永遠の命をもつ釈迦仏が姿を変えたものだという。神仏習合、民間信仰の姿がそこに見られる。

「近江史を歩く・57」は、「湖国の祈り竹生島」

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