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1954年、冷戦下の米ソ対立の中で、第三世界諸国の存立の基本とされた理念が発表された。「平和共存五原則」=「領土保全及び主権の相互不干渉・相互不侵略・内政不干渉・平等互恵・平和的共存」。
周恩来とネルーの間で合意された5原則は、中国・インド両国だけではなく、冷戦下の世界に広く適用されるべき原則であるとされ、翌年のアジア諸国民会議で共同声明として発表されている。
70年後の2024年6月28日、北京市内の人民大会堂で平和共存五原則発表70周年記念大会が開かれた。
習近平主席は談話の中で「70年前、平和共存五原則が正式に発表された。国際関係史上の偉大な試みであり、画期的で重大な意義を持った。平和共存五原則はアジアで誕生し、世界に速やかに広がった」と述べた。
習主席はその上で「五原則の出発点は、強権政治の環境における弱小国の利益と訴求を守り、反帝国主義、反植民地主義、反覇権主義の旗を鮮明に掲げ、みだりに武力を行使することをやめ、強者が弱者をしいたげるジャングルの法則を捨てることであり、国際秩序をより公正で合理的な方向に発展させるための重要な思想の基盤を打ち立てた」と強調した。
習主席はさらに、「70年後の今日、中国はどのような世界を建設するのか。どのようにこの世界を建設するのかという重要な課題に向き合い、『人類運命共同体の構築』という解答を出した。中国の平和的発展の道を歩む決意は変わらず、中国の各国と友好協力を行っていく決意は変わらず、世界の共同発展を促進する決意は変わらない」と表明した。
戦争なしには一刻も生きていけない某没落覇権国家とは違い、中国は平和なしに経済発展はないという明確な意思を持っているようだ。他国の経済発展が自国の経済発展をも促すというウインウィンの関係の構築。10億以上の飢えた民の胃袋を満たし、分厚い中流階級を形成しようとしてきた自負と自信がそこには垣間見える。
しかし毎日毎日、メディアを通して私たちの頭を支配しているのは、憎悪と敵意に満ちた「中国」像。
例えば今週前半のこんな歴史的ニュースに関心を持っている人はどれだけいるのだろう。
パレスチナ自治政府の主流派ファタハと厳しく対立していたイスラム組織ハマスの代表団、さらに12のパレスチナのグループが、21日から23日にかけて北京で和解に向けた協議を行い、「北京宣言」に署名した。宣言は「分裂を終わらせ、パレスチナの団結を強化する」もので、「暫定的な民族和解政府」をつくるとともにパレスチナ国家の樹立を求めるという。
最近の中国の外交交渉力には目を見張るものがある。いや、この10年20年の中国社会の変化をどこまで正しく読み取れているのだろうか。思考停止の部活脳社会に骨の髄まで浸りきることなく、知性の扉を開け放とう。
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