地球温暖化と米国の黄昏
「ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つ」(ヘーゲル)
ミネルヴァとは、ギリシア神話の知恵と戦いの女神アテナのこと。夕暮れになるとアテナは飼っていたフクロウをアテネの町に飛ばして一日の出来事をさぐらせ、それをもとにみずからの知恵を深めたとされる。
ヘーゲルは、哲学をミネルヴァの梟(フクロウ)にたとえ、一つの時代が形成される歴史の運動が終わった後で哲学はその時代の意味を読み取り、歴史を総括する知恵を見出すとした。
田中宇「資源戦争で中国が米国を倒す」(2023年4月24日)より以下抜粋引用。
米政府が4月12日、自動車メーカーに対し、これから10年かけて二酸化炭素の大幅な排出削減を義務づけ、ガソリンやディーゼルのエンジンの内燃自動車の生産を妨害し、電気自動車の生産を事実上義務づけていく「温暖化対策」の新政策を打ち出した。 電気自動車で最重要な部品は製造費の3-4割を占めるバッテリーで、そこではリチウムやマンガン、ニッケル、コバルト、希土類などの鉱物が不可欠な材料だ。米国や同盟諸国が「温暖化対策」をやるほど、これらの鉱物資源が重要になる。 それを見越したかのように最近、米国側の敵である中国が、他の非米諸国を誘い、リチウムなど重要な鉱物を非米側で専有し、米国側に渡さないようにする資源戦争の様相を強めている。
4月22日には、世界第2位のリチウム生産量を持つ南米のチリが、リチウム生産の事業を国営化していくことを決めた。チリのリチウムはこれまで米国企業アルベマールなどが握ってきたが、今の契約が切れるとともに国営化する。
4月13日には、チリなどと並んで世界的なリチウム埋蔵量を持つアフガニスタンで、中国企業(Gochin)がリチウム鉱山の開発権を得る見返りに、アフガン南北を結ぶ100億ドルの道路整備の事業を行う契約を交渉していることが報じられた。
米国側が「温暖化対策」として、電気自動車のバッテリーでリチウムを必要としているし、中国がリチウムの生産や流通で世界的に大きな力を持っているのも事実だ。中国から見ると、リチウムは米国側が抱える弱点の一つだ。
地球温暖化人為説はウソである。地球は急速な温暖化をしていない。人為の二酸化炭素排出と温暖化の関係も、実は立証されていない。温暖化人為説は、米英の「専門家」(詐欺師)たちが、歪曲したコンピューターシミュレーションを「証拠」として捏造し、それを国連IPCCなどが無誤謬な「事実」として権威付け、マスコミが喧伝し、異論を発する者たちを政治的に殺すことで確定的な「事実」にのし上がった。
人為説はウソなのだから、あらゆる温暖化対策が不必要だ。米政府などが温暖化対策として内燃自動車を規制・禁止するのは全く間違っている。電気自動車は価格の3-4割を占めるバッテリーを数年ごとに交換せねばならず、電気代も高いので、内燃車よりはるかにお金がかかる。温暖化問題を信じない人も世界的に増えている(日本人は軽信的なのでダメだけど)。長期的に、電気自動車はすたれていき、内燃車が復権していく。
ウソに基づく地球温暖化問題は、米国側が世界中に持っていた石油ガスの利権を軽視・放棄する動きもたらしてきた。米国側が手放した世界の石油ガス利権の多くを、国有化などによって露中サウジイランイラクなど非米側が取得した。ウクライナ開戦後、米国側がロシアを強烈に経済制裁し、中立を米国に拒否された非米側の諸国がロシアを支持して米国側と敵対しつつ結束した。非米側は石油ガスから金地金、リチウム希土類、穀物までの資源類の多くを握って結束した状態で、米国側から敵視された。非米側は米国側に資源類を渡さなくなった。その一例が今回のリチウム争奪戦であると考えられる。
習近平は、非米側を結束する外交攻勢を開始し、まずOPECの盟主であるサウジアラビアを訪問して関係を強化した。中国は、サウジが望んでいたサウジとイランとの和解を仲裁し、返礼にサウジはOPECを動かして米国側を困らせる石油減産をした。世界的な石油の支配権が、米国側から非米側(中露サウジイランなど)に移転した。習近平は3月にロシアを訪問して中露関係を結束させ、ウクライナ和平仲裁も提案した。
米政府は、半導体製造など戦略的に重要な産業の面でも、中国との敵対を強めている。これまでは米国側が半導体製造の高度技術を持ち、それを中国に投資して儲け、中国は米国側から「借りた」高度技術を使って実際の製造を担当してきた。中国は実のところ米国側から借りた技術を習得し、すでに自分のものにしている。それでもこれまでは、借りた技術の使用料みたいな感じで米国側からの投資を儲けさせてきた。ところが今は、米国が米中分離策を進めてもう中国に技術を出さず、中国に投資して儲けることもやめていく。これは一見、米国側が技術を借さずに中国を困らせる中国敵視策に見える。だが実はすでに中国は高度技術を自分のものにしており、米国側に利益をとられなくなる分、中国の儲けが増える。
米中分離は中国にとって好都合であり、米国側を損させる。それを知りながら、米国はハイテク面などで中国との経済断絶を進めている。イエレン財務長官は先日「米国にとって大事なのは経済利得よりも安全保障だ。安保的な中国の脅威をなくせるなら、中国との経済関係を切ることで米国が損をしてもかまわない」という主旨の発言をした。中国はすでに高度な半導体技術をおおむね習得しており、米国から関係を切られても困らない。むしろ中国は、これ幸いと非米側の経済結束を強め、米国側に気兼ねせず世界経済を非米化していくようになる。
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