あの日からパパは変わった

biwap

2015年05月12日 08:50


 「自衛官の家族を脅すとは卑劣きわまりない」「アメリカ人なら何人死んでもエエんか」。当然のことながらネトウヨから凄まじい攻撃を受けた社民党のポスター。ところが、意外な人が意外なことを言っている。「自衛官の戦死にリアリティを感じ始めたから、自称保守&ネトウヨは、このポスターに動揺している。タカ派発言ばかり楽しんでいるくせに、自衛官の戦死から目を逸らす自称保守&ネトウヨは欺瞞的である!」。ネトウヨの生みの親とも言われている小林よしのり氏。保守論壇の寵児はその言説を変化させている。「実は嫌韓本も売れる構図は同じである。卑小な自分でも自信を持つためには、自分以下の存在を差別すれば手っ取り早い」「隣の国の悪口で自我を肥大させ尊大になっている日本人なんて美意識のカケラもない!」「日本の政治や国会などで大きな出来事、伝えるべき問題があっても、それは報じず。中国や韓国の汚職の問題やら、1年前のセウォル号の事件に関する問題を何日も扱ったりとかね」。転機になったのは中東情勢。「イスラム国はアメリカのイラク侵攻が生み出した。絶対に許されない侵略戦争だった。日本はその大義なき戦争を支持したことに対する総括がまったくできていない。そんななかで集団的自衛権が行使されれば、日本はいっそう米軍と一体化し、必ずや戦争に巻き込まれる。改憲の後、普通の国になれば徴兵制だってありえる」。しかし小林が左傾化したわけではけっしてない。その思想に与(クミ)するものでもない。しかしその彼が「過剰に右傾化した日本の舵を、いったん真ん中に切り戻す」と言わざるを得ないほど、今の状況は異様なのだ。さらに異様なのは、それを異様とすら感じられない言論の世界である。


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