UKRAINE ON FIRE

biwap

2022年03月14日 10:22


 『ウクライナ・オン・ファイヤー』。オリバー・ストーンが2016年に制作したドキュメント映画。「ウクライナのネオナチ」という根深く重大な問題を描いている。
 Youtube ではアップロードした動画が次々と消され、アップロードされ、それがまた封殺されるという「いたちごっこ」が続いている。作品が世間の目に触れると、ウクライナの真実が透視され、理解と洞察が進んでしまうことを恐れているかのようだ。


 欧州の過激なネオナチがウクライナを拠点として不気味に結集跋扈し、極右民兵となって暴力行動に勤しんでいる。そこにはCIAの関与があり、ネオコン・ソロス財団の潤沢な資金が流れ込んでいる。


 ウクライナの極右民族主義と反共ナチズムは歴史的に根が深い。
 1941年にステパン・パンデラが指導者となったOUN(ウクライナ民族主義者組織)はナチスの侵攻に全面的に協力。ウクライナ西部でユダヤ人、ポーランド人、ロシア人に対する大規模で残虐なテロリズムを敢行、数十万人を虐殺した。
 第二次大戦後、CIA(アメリカ)は彼らの戦争犯罪を見逃し、反ソ扇動の核として利用する。そしてソ連崩壊後、彼らは公然と政治の表舞台に復活し、現在のウクライナ共和国の主流になる。


 2004年の「オレンジ革命」では、大統領選でヤヌコヴィッチ大統領が選出されたことに、EU加盟を推進する親米派のユシチェンコ陣営が「不正選挙」のクレームをつけて大規模デモをおこない、欧米側も後押しした再選挙で親米政権が生まれた。
 大統領に当選するや否やユシチェンコは、なんとあのステパン・バンデラを顕彰し、国家勲章を授け、「ウクライナの英雄」の称号を与える場面が映画に登場する。日本並みの歴史修正そのものである。
 ユシチェンコ政権は、主力産業である鉄鋼企業20社あまりを民営化し、欧米の多国籍企業に売却。インフレ率は急上昇、失業者はあふれ、生活必需品は高騰し、国民生活に打撃を与え産業は低迷していった。
 そのため2010年の大統領選ではオレンジ革命で標的となったヤヌコヴィッチ大統領が選出。しかし、2013年11月にEUとの連合協定の調印を延期したことを契機にして、再び親欧米派の野党やネオナチ集団が暴動を起こし、クーデターに発展(マイダン革命)。


 西側メディアは「民主化デモ」と肯定的に報じたが、デモ隊には武装した民兵団も入り込み、ライフルを使って市民を狙撃し、それを「ヤヌコヴィッチ政権の犯行」とすることで憎悪キャンペーンを煽った。あえて反政府側の市民に犠牲者を出して騒乱を作り出す。「偽旗作戦」と呼ばれるものだ。
 ウクライナはアメリカの敵に突撃する尖兵として育っていった。ネオナチは、ドイツから消えたかと思って安堵していたら、実はウクライナで増殖して強大化していた。ネトウヨ化した日本の敵が中国であるように、ネオナチ化したウクライナの敵はロシアだという構図ができる。


 6年前に制作された映画だが、パズルのピースが埋まるかのように、真実の全体像が浮かび上がってくる。この時から、暗躍していたのがバイデン現米大統領だ。しかし少しでも疑問を持ち始めると、「陰謀論」の名のもとにその疑問は封じ込められてしまう。
 ファシズムは「鬼の顔」をしてやってくるわけではない。「正義という名のファシズム」の方が実に不気味で恐ろしく、私たちを真綿で締めていくものなのだ。


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