父と同じく

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2014年12月12日 06:19

道草百人一首・その38
「今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな」(素性法師)【21番】


 「今すぐに参ります」とあなたが言ったばかりに、9月の夜長をひたすら眠らずに待っているうちに、夜明けに出る有明の月が出てきてしまいました。藤原定家は別の解釈をしているようだが、優しそうな人だったのに来ないじゃないのという女性のやるせなさを軽妙に歌ったものだろう。百人一首の作者たちには、いろいろな相関関係がある。素性法師(ソセイホウシ)。 俗名・良岑玄利(ヨシミネノハルトシ)。良岑宗貞(ヨシミネノムネサダ)の子。というより「天つ風 雲のかよひ路 ふきとぢよ 乙女のすがた しばしとどめむ」の作者・僧正遍昭の子と言った方がわかりやすいかも。
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 清和天皇の時代に左近将監(サコンノショウゲン)まで昇進したが、父親と同じくこれまた坊主めくりのお坊さんになってしまった。俗世の権力闘争は、げに恐ろしきもの。


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