強いからこそ美しい
「強いからこそ美しい」のキャッチコピーにひかれ、久しぶりの演劇鑑賞。小野小町伝説は全国に散在する。この作品は、出羽(現在の秋田)に生まれ、その地に永眠したという小町伝説がもと。上洛した小町は、蝦夷(エミシ)であるがゆえに壮絶な差別といじめを受ける。和歌や学問の才能・類まれな美貌への嫉妬、そして陰謀と策略の中を生き抜いていく。「花の色は移りにけりな」の美学とは正反対の小町像である。すがることなく、媚びることなく、強く、賢く生き抜いていく女性の姿が美しい。東北の大地に生業(ナリワイ)を営む人たちの健康なたくましさと、怨霊に怯えるしかない都の退廃が対比される。最近、政治家の顔の醜悪さに辟易していただけに、凛とした生き方がさわやかだった。
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