無意識の世界へ
興味本位で西洋美術史29 シュールレアリスム
第一次大戦中のヨーロッパに起った芸術運動「ダダイスム」。伝統的価値観への反逆と言われているが、第一次大戦の残虐行為への反発でもある。既存の美・文化・芸術などを否定。
その後、ダダに参加していた多くの作家が「シュールレアリスム」に移っていった。まるで夢の中をのぞいているような独特の現実感。「シュール」は「非現実的」「現実離れ」と考えられているが、「超現実」という意味。無意識・集団意識・夢などの「現実」を見つめ、隠された潜在意識を緻密に描き込んでいる。
ダリの代表作「記憶の固執(柔らかい時計)」。溶けていくカマンベールチーズから着想を得たとダリ自身が語っている。チーズは4つの時計に姿を変え、固い岩肌と海辺のある広い空間の中に淡々と存在。中央の時計の下にあるのは「弱いもの」を象徴している怪物。手前の懐中時計に集っているアリは「死」のイメージ。ダダの破壊の精神を受け継ぎながら、理性にコントロールされない無意識の世界へと踏み込んでいった。
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