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2016年01月15日

果たせぬ恋の果て

道草百人一首・その69
「今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな」(左京大夫道雅)【63番】

果たせぬ恋の果て

 花山天皇の皇女・上東門院に仕える女房が、路上で何者かに殺害された。取り調べに当たった検非違使庁は、容疑者として一人の法師を逮捕。すると法師は、なんと「道雅の命で殺害した」と自白。事の重大さに、この事件はうやむやにされた。ただし、「荒三位」「悪三位」と噂され、自暴自棄な生活を送っていた道雅は左遷。
 左京大夫道雅。内大臣・藤原伊周(コレチカ)の長男。父・伊周は藤原道長との政権争いに敗れ失脚。没落し出世の道が断たれた道雅は、禁断の恋に落ちる。当子(マサコ)内親王。三条院の皇女。伊勢の斎宮をつとめ終えたばかり。密会を重ねるうち、ついに三条院に知られ、二人は引き裂かれる。当子内親王は軟禁状態の上、ボディーガードまでつけられる始末。
 逢えなくなってしまった今、せめて、あなたへの想いをあきらめてしまおう、それだけでも直接伝えることができればいいのに。別れの言葉すら直接伝えられない悲恋。この後、当子内親王は出家して尼となり、間もなく病にかかり亡くなってしまう。道雅の心は転落していく。かくして、上東門院女房殺害事件が起こった。