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2015年03月22日

春風駘蕩

道草百人一首・その49
「ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ」(紀友則)【33番】

春風駘蕩

 こんなに日の光がのどかに射している春の日に、なぜ桜の花は落ち着かなげに散りいそぐのか。まさに春風駘蕩(シュンプウタイトウ)。ゆったりとしたのどかな心象風景に一抹の哀傷が宿る。西行を思い出す。「願わくば花の下にて春死なん、その如月の望月のころ」。春の日の物哀しきアンニュイは、若き日のときめく春を彼方に眺めてしまう。紀友則(キノトモノリ)は、紀貫之(キノツラユキ)のいとこ。教科書で習ったこの歌、やはり古今集的名歌といえる。