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2015年03月02日

つれなきものは

道草百人一首・その46
「有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし」(壬生忠岑)【30番】

つれなきものは

 <空には有明の月がつれなくかかっていた あなたのそばにもっといたかったのに 明ければ帰らねばならない世の習い ぼくは心残して帰った あの日からというもの ぼくにとっては暁ほど せつなく辛いものはないようになったんだ> 
 つれなく見えたのは有明の月だけでなく、女性もそうだったという解釈もある。わかれのせつなさか? つれなくされて帰った未練がましさか? つれないのは、月? 女性? 月と女性の両方? 壬生忠岑(ミブノタダミネ)。三十六歌仙の一人で、「古今集」の撰者の一人。藤原定家もこの歌を評価しているところをみると、あまりどろどろしていない艶な趣なのかもしれない。