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2015年02月21日

初霜の白菊

道草百人一首・その45
「心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花」(凡河内躬恒)【29番】

初霜の白菊

 今朝は特別肌寒い。手をこすりながら縁側へ出てみると、庭の可憐な白菊の上に白い初霜が降りている。寒いわけだ。初霜も白いので、白菊の花を折ろうと思っても、どれが白菊だか分からない。あてずっぽうに折るしかない。初霜でまぎらわしくなっている白菊の花。
 そんな訳ないだろうと、噛み付いたのが正岡子規。「初霜が降りたくらいで白菊が見えなくなるわけではない。これは嘘の趣向である」と酷評。そうおっしゃっては、身も蓋も無い。子規先生。使い古された陳腐な表現を廃し、「写生」つまりリアリティの大切さを説こうとした。
 凡河内躬恒(オオシコウチノミツネ)。下級役人ながら、三十六歌仙にも選ばれたほどの名人。知的で思索的な歌を得意とする。この歌も派手な言葉遊びはないが、さりげなくていい。まあ、ここは穏便に。